感動したコールセンター体験 --- 岩瀬 大輔

アゴラ

ブログの筆が乗ってきました。いい感じ。
なお、私のブログは、趣味でやっているのではありません。主に若いビジネスパーソンを対象とした、ライフネット生命のマーケティング活動の一環です。面白がって読むだけでなく、時折、応援も兼ねて、ライフネット生命のHPでお見積り、資料請求などを宜しくお願い致します。


さて。

当社は平日22時まで、土曜日も18時までコールセンターを運営しているのだが、昨日、他社さんのコールセンターに電話してとっても感動する体験をしたので備忘録として残しておきたい。

金曜夜のことだったか、母からメールが入った。

「先週、家電量販店で買ったwifiルータ。やっぱりパパがちゃんと設定できないみたいなので、今週末、来てくれない?」

出張ITサポートの要請だ。

63歳の女性というと皆さんがどういうイメージを持つか分からないが、母はほぼ毎日2~3時間ジムに通う、体育会系である。顔は、私と瓜二つ。以前、ジャックウェルチの本を読んでいたら、母親と顔がそっくりだったので笑ってしまったが、うちも負けていないくらい瓜二つなのだ。

なぜ63歳の母がネット接続に焦っていたのか。聞くと、仲間内で mixi や facebook のソーシャルゲームをやっているところ、自分だけが wifi でなく3Gでやっている。データ通信量が数ギガを超えて、ドコモから何度も警告メールが送られてきた。このままではソーシャルゲームができなくなり、仲間たちに不義理になるから困っているとのことだった。高齢化時代のソーシャルゲーム事情。ここにも大きな市場機会がありそうです。

それで、先に結論を言うと、設定の際にアシストしてくれたエレコム社のコールセンター担当者が素晴らしかった、ライフネットとしても学ぶところはたくさんあるな、と思ったわけです。

両親のマンションは少し古くて、NTTのフレッツが入っているのだが、電話線から VDSL 機を経由して、もう一つNTT独自仕様のルーターが通っている。そこに、PCから so-net のプロバイダーに毎回ログインしてネットを繋げていた。ここにもう一機、wifi ルーターが入るのだから、複雑になるわけだ。

回線が込み合っていてなかなか繋がらなかったが、ようやく繋がると、いかにも ITギークっぽい坦々とした話し口調の女性担当者と20~30分あまり、対話をしながら設定を終えることができた。

感動したポイント:

  • 単に表面的に作業を促すのではなく、無線通信がルーターを経てどのようにネット回線に繋がるのか、本質的な仕組みを説明しながらアシストする。すると、こちらはロボットではなく、自分なりに頭を使って考えながら解決策を導こうとする。
  • 会社の枠にとらわれず、「とにかくこのルーターをネットに繋げたい」という課題を解決しようとする、ソリューション志向。途中から、NTT側の機器の設定が問題になったのだが、「それはNTTさんの問題なので、当社は分かりかねます・・・」などとは言わない。目に見えない、知らないNTT機器について、自身の経験と知識を活かしながら、電話越しに果敢に取り組んでくれる。
  • 「繋がるまでトコトン付き合うぞ」という気概が伝わってくる。決して、早く電話を切ろうとしない。かえってこちらが気を使ってしまったが、こちらが作業中は辛抱強く待ってくれて、腰が据わっていた。

最後に奇跡が起こる。

NTTのルーターの設定を変えるために、管理画面にログインしなければいけなくなった。当然、両親は何年も前に設置されたNTT機器のパスワードなど覚えていない。

岩瀬:「あてずっぽで、ID: admin, pswd: admin で入れてみたのですが、やっぱり無理ですね・・・」
担当者:「たまに、ID がxxxxってなっている会社さんがありますけどね」
岩瀬:「(xxxxを入力)……あ! 入れた! すごい!」

他社さんの id/pswd まで宛ててしまう、この天性の勘の持ち主(もしかしたら、似たような境遇にいる人がたくさんいるので、把握されていたのかも知れませんが……)。

いずれにせよ、こういった「wow!」とお客さまに感動してもらえる体験を届けたいですね。ビジネスのヒントがたくさん詰まった、週末の電話対応でした。この方は、今週のMVPをお送りしたいです。

なお、ライフネットのコールセンターも、「HDI問い合わせ窓口格付け」で2年連続、3ツ星を受賞しています。よかったら、お問い合わせください。


編集部より:このブログは岩瀬大輔氏の「生命保険 立ち上げ日誌」2014年1月19日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は岩瀬氏の公式ブログをご覧ください。