他国のテロリスト記念館を作った中国の愚かしさ

アゴラ編集部

中国のハルピンに、伊藤博文を暗殺したテロリスト安重根の記念館ができたそうです。韓国や北朝鮮で安重根はテロリストではなく「英雄」とされている。韓国の歴史では、こうした国家要人に対するテロ事件が散見され、李承晩の政敵だった金九も暗殺されているし、朴槿恵大統領の父親、朴正熙と夫人の陸英修もテロルの銃弾に斃れています。ちなみに、韓国で敬愛されている金九もテロリストです。


日本政府は、記念館の開館について中国に対し、遺憾の意を伝えているんだが、中国は長くこの事件について黙殺してきました。これはハルピン駅の暗殺場所について書いた朝鮮日報の記事なんだが、最近になって注目されるまで訪れる者もない場所だったようです。また、中国人で安重根を知ってる人間は少ないらしい。

ところが、韓国の朴槿恵大統領が安重根の記念碑をハルピンに建てるよう中国に要請し、記念館の突然の開館にいたったわけです。日本政府にとって「寝耳に水」のことのようで、まさか中国が認めるとは思っていなかったんでしょう。記念館は、どうもハルピン市政府がカネを出して作ったらしい。駅構内を改造した簡易なものとはいえ、朴大統領が要請した記念碑よりも本格的なもののようです。

日本でも1960(昭和35)年に右翼少年による浅沼稲次郎暗殺事件が起き、70年安保闘争以後は、朝霞自衛官殺害事件など新左翼によるテロが続ききました。浅沼稲次郎を刺殺した山口二矢については、今でも命日に右翼団体が追悼式典を開いています。殺人も平時に行えば相手がどんな極悪非道なことをしても犯罪なんだが、戦時に敵に対して行えば英雄になります。当然のごとく政治的な「テロ」が批難されるべき暴力的暴発か愛国的な英雄的行動かどうかは、立場によって真逆になる。

日本人にとってテロの記憶で新しいモノは、オウム真理教の一連の事件でしょうか。しかし、テロによって歴史の歯車が大きく逆転することはありません。例えば、反日朝鮮人テロリストは、前出の金九以外にも李奉昌、尹奉吉、廉東振など大勢いるんだが、彼らのテロによって植民地支配が終わったわけではない。

タラレバの話になってしまうんだが、伊藤博文の暗殺は逆に朝鮮の植民地化を早めた、と言われています。彼は朝鮮の拙速な植民地化には反対していました。直接的な植民地は支出ばかりかかって割に合わない。米国が文化を輸出し、経済的な植民地政策を採っていたフィリピンのように、間接的な支配にとどめておいたほうがむしろ得、と考えていたようです。また、安重根は朝鮮でも富裕層の出身であり、暗殺の動機も単に伊藤博文が富裕層への課税を重くしようとしていたのに反感を募らせた、という説もあります。

死後にこうしたテロリストが、その意図や動機とは無関係に政治的に利用されるケースも少なくありません。今回の安重根記念館も一種のプロパガンダで、従軍慰安婦の銅像のようなものでしょう。ただ、なにやら台湾の馬英九総統までもが日本批判をし始めたようで、反日の雰囲気がキナ臭くなってきました。いずれにせよ、日本政府としては、自国内に他国のテロリストのおかしな記念館を作った中国に対し、厳重に抗議しておいたほうがいいでしょう。

HEAVEN
ハルビン駅に伊藤博文を暗殺した安重根の記念館が開設される


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アゴラ編集部:石田 雅彦