経済や市場は立ち位置や視点によって相貌が大きく変わる --- 岡本 裕明

アゴラ

株式市場にうっすらと雲がかかり始めている感じがします。今日、木曜日のニューヨーク市場の下げは中国の景況指数が50を下回ったというのが第一理由に上がっていますが、実際には始まった四半期決算に陰りが見えているから、と言った方がすっきりしそうです。


結果として、アメリカの経済先行きに不安感が台頭、金融の量的緩和の離脱スピードにもブレーキがかかるかもしれないという思惑から金が大幅上昇したというのがシナリオです(個人的にはスピード調整はないとみていますが)。もともとアメリカの株式は買われすぎていてここから先の旨みは少ないと見られていました。つまり、個別銘柄で勝負を賭けるという感じでしょうか? そこに全体の地合いが悪くなる材料が出るとここ数日のような軟弱な土壌となってしまうのです。

結果としてドルは売られますから相対的に円は買われる、という話です。日本の株式も厳しいでしょう。

ではアメリカは景気回復のシナリオが崩れたのか、といえば全然そんなことはないのですが、以前から申し上げていたようにアメリカの景気は匍匐前進であって過大なる期待がありすぎた、ということではないでしょうか?

バブルがなぜ起きるか、いろいろ研究はあると思います。その中である程度、的確な答えをたった一言で述べれば「壮大なる中流層の底上げ」なのです。日本もしかり、アメリカもしかり、カナダもしかり、ヨーロッパもしかりです。バブルが弾けるのは中流になりたいと思う人が脱落し、再チャレンジに時間がかかるということであります。日本が20年かかってようやく治癒し始めたのは再チャレンジを認めない社会において世代交代を待っていた、ということではないでしょうか? つまり、アメリカでは早い時期に二度目の挑戦を挑み、とりあえず、うまくいっているのですが、前回の2006年までのバブルのようには当然なりません。そこまでパワーがないのです。だから、匍匐前進であり、期待先行で実態にやや失望という流れになるのではないでしょうか?

では投資家からすればどこにその資金を持っていくか、これが問題なのです。アメリカは金融緩和でドルを4倍に増やしました。しかし、市中に出回った本当の経済の血となるマネーは4割しか増えていません。この差は全部、投機に流れています。投資とは言いづらいでしょう。今、日本の株式市場に流れている外資からの巨額のマネーもそういう意味ではこれから何十年も日本とともに歩むつもりは毛頭ありません。儲ければさっさと引き上げる、そういう類のマネーであります。

ならば、日本の株式市場は期待薄かといえばそうとも言えません。なぜならマネーが向かう先が当面、他に見当たらないからであります。但し、何か理由があればすぐに逃避するということだけは肝に銘じておくべきです。

そしてそれは市場が事実を表から見るのか、裏から見るのか、このポジションで雲泥の差が出るということです。

例えば、日銀がやるかもしれないと匂わせている追加の金融緩和。これはアメリカからすれば「20年経っていまだに出口が見いだせない日本経済に将来性はなく、日銀の追加金融緩和は目先、その出口政策すら立てられず、ボディブローとなる」という解説が主流となってもおかしくはないのです。それは世界のリーダーのボイスがどちらに向かうか、それだけです。世の中には答えがたくさんある中で政治的にどれを選択するか、というゲームである、としたら過激すぎるかもしれませんね。しかし、世界とはそんなものではないでしょうか?

日本は手のひらの上で踊らされてないよう、しっかり、大地に足をつけて日々の経営に切磋琢磨することがよいのでしょうね。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年1月24日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。