「STAP細胞」が下げた「バイオハザード」のハードル

アゴラ編集部

「STAP細胞」については、もうあちこちで大騒ぎになって報道されているので、みなさん、内容についてよくご存じだろうと思います。今回の発見は、やはり研究開発にとって「常識を破ること」がとても重要、ということを再認識させてくれました。我々は、よくこの陥穽にはまってしまいます。意図して「常識外れ」に挑戦した「STAP細胞」研究者らはもちろん、ノーベル賞を取った田中耕一氏がグリセリンとコバルトを混ぜてしまう「失敗」から革新的な発明にいたった有名な事例をみれば、偉大な発見が普段なら見逃されてしまう目の届きにくい場所に隠れていることに気づかされます。


それは案外、身近にあって普通なら「ゴミ」のように扱われているものだったりもします。当方は青色LEDを発明した中村修二氏を長く取材してきたんだが、彼も同じように「常識」とされていた学会の通説に疑問を抱き、ほとんど誰からも見向きもされず扱われていなかった素材に取り組むことで、今の我々の生活に欠かせない光源の開発に繋げています。こうした例は枚挙にいとまがありません。

ところで、話題の「STAP細胞」について言えば、それまでの「常識」がくつがえされた、という意味でノウハウや手法については意外に単純で明解なものなのではないでしょうか。これまで誰も取り組まなかっただけで、単に見逃されてきただけだった。だとすれば、本質的が故に、その内容は「コロンブスの卵」の如く、知られてしまえば誰もが実行できるものかもしれません。

もちろん、重要なキモの部分は隠され、論文にも書かれていないはずだし、そのへんの中学校の実験室レベルで可能なとも考えられないんだが、今回の「STAP細胞」の登場で、生命科学と周辺の研究開発に取り組むことのできる研究実施者のレベルが格段に下がったのは事実でしょう。再生医療や遺伝子治療、出生前診断といった生命科学の倫理面に関して、我々の間で議論が充分になされているとはまだまだ言い難い。ソフトとハードの両面で、これまでより一層「バイオハザード」防御の必要性が高まった、ということです。

The PAGE
「STAP細胞」は何がすごいのか? 世界の科学者はこう見る


労働者バッファ:外国人労働者という諸刃の剣。
スロウ忍ブログ
人手、労働力、人材というのは雇用者にとっては、なかなか悩ましい存在です。景気が良くて商売が上り調子のときは、ネコの手も借りたいほど忙しくなって社員従業員は多ければ多いほどいい。しかし、不景気になって注文が減ったりすれば、雇い入れた社員従業員の人件費が重くのしかかってきます。どこかに雇用の調整弁がほしい。これは、高度成長期を終えた日本の産業界からの切実な要請でした。政治がこれに応え、正規社員を減らしたり、今では簡単に馘首できるよう規制緩和をしつつある、というわけです。終身雇用なんてのは、そもそも「幻想」だったんだが、企業と社員は同床異夢をみていた。で、少子化です。晩婚化非婚化がそれに拍車をかける。日本の就労人口はドンドン減り続ける。日本の総人口は、2030年に1000万人以上減少、2046年には約3000万人減少し、1億人を割り込んで9938万人となり、2055年には4000万人減少して8993万人にまで縮小すると推計されています。もう大変なことですね。どうすればいいのか、といえば海外から働き手を入れるしかない。しかし、中国にしても東南アジア諸国にしても日本と同じような少子高齢化に突き進んでいます。当面は外国人労働者という選択肢があるんだが、将来的には、ロボットを使うとか、もっと抜本的な改革が必要となるでしょう。

AmazonがKindleでクレカ決済可能なシステムを小売店に提供する見通し
Gigazine
少額決済では日本の場合、スマホなどの「おサイフケータイ」や「交通系ICカード」が主流になりつつあります。日本人はどうもクレジットカードは苦手らしい。この記事で紹介されているような端末サービスもいろんなのがあるんだが、どうも広がらない、というのは、特殊なカード読み取り機器が必要だったり、小売店側のインフラ整備にカネがかかったり、といった事情があるからでしょう。このAmazonの試みも日本では使われないと思います。

人類側軍隊内にも進出するロボットたち。運命の時は近い
TechCrunch 日本版
人類と機械との関係は、ずっとつかず離れずでした。当方の実母は心臓に人工弁を入れているし、当方自身もコンタクトレンズやメガネ、といった人工物がないと生活できません。人類は少しずつ「サイボーグ化」している、というわけです。一方、機械のほうはどうか、と言えば、こちらも「人工知能」技術の進歩で少しずつ「サイボーグ化」しつつある。それぞれの「サイボーグ化」が極まったとき、いったいどこから人間でどこから機械なのかわからない、という状態になるかもしれません。「意志」の有無、なんていったって、長年、哲学が解決できていないものを我々がちょこちょこ考えても解決できないでしょう。

アイゴの話
神奈川件水産技術センター
いろんな魚がいるもんで、こういうのを読むと日本の水産資源の豊かさは世界でも群を抜くようです。アイゴ、というのは毒をもっていることで有名なんだが、フグ毒もごく最近までその正体がわからなかったように、アイゴの毒もどういう性質のもので、どうやって作られるのか不明なようです。刺されたら患部をよく洗って熱い湯につけておくといいらしい。食べて美味しいのなら、磯焼などの食害を防ぐ意味でもどんどん食用にして流通させたらいいんじゃないかと思います。


アゴラ編集部:石田 雅彦