ルー米財務長官が米下院に宛てた書簡が7日明らかになり、米債務上限引き上げの期限切れが「2月27日以降」に迎えることが分かりました。米財務省が特別措置を開始するため、2013年10月16日に暫定予算・債務上限引き上げの協議で合意した2月7日より約3週間後ろ倒しされています。
一方で、超党派政策委員会のウェブサイトによると、米財務省の特別措置により1980億ドルの猶予が生じる見通しです。その上で、超党派政策委員会は債務上限期限切れの予想レンジを2月28日から3月25日に設定。3月14日以降に「Xデー」が到来すること必至とも指摘しています。
足元の米株および米債市場は比較的、落ち着いた動向を示しています。2013年10月の政府機関の閉鎖で米下院で多数派を握る共和党が医療保険改革(オバマケア)を人質に強硬スタンスを貫いた結果、支持率は過去最低を更新した悪しき前例があります。米中間選挙前に、マーケットは無茶をしないと決め込んでいるのでしょう。医療保険改革(オバマケア)自体の不人気に加えテクニカル障害もあって、オバマ米大統領の支持率が1月13~19日週に40%(ギャラップ調査)と過去最低の38%に近づくなど、敵失にも助けられていますしね。
そうはいっても米下院の共和党は、おいそれとオバマ米大統領に手ぶらで債務上限を引き上げにさせるわけにいきません。足元では1)退役軍人向け年金の削減、2)Doc Fixと呼ばれる高齢者向け医療保険(メディケア)の診療報酬削減凍結の解除、3)強制歳出削減の一部再始動、4)以上の合わせ技──が挙げられます。
すんなり条件で折り合えるかといいますと・・共和党内部では、中間選挙動向に響く可能性をにらみ退役軍人の年金の削減、米国医療協会の反対もあってメディケアの削減に消極的な議員も少なくない。従って共和党は新たな米連邦債務の上限期限を11月4日の
手段を模索するあいだに、時間は無情にも刻々と過ぎていく。2月17日のプレジデンツ・デーを受けて米下院は13日から24日まで、米上院も2月15日から23日まで休会に入ってしまうんです。
カウントダウンが始まり、米財務省短期証券(Tビル)の利回りは、2月27日以降の利回りは上向き始めました。米財務省が4日に実施した80億ドルの4週間物Tビル入札も、最高落札利回りが2013年10月半ば以来の高水準。マーケットが楽観視する一方で、短期債市場は準備を進めています。
3月13日物が、特に高いことがお分かりいただけます。(2月10日時点)
以下、国債償還・歳出スケジュール
主な国債償還
・2月27日→570億ドル
・3月6日→820億ドル
・3月17日→570億ドル
・3月17日→570億ドル
主な歳出項目
・1日当たりの税金還付、20億~150億ドル
・2月28日に370億ドル相当の支払い
>高齢者向け医療保険(メディケイド)→170億ドル
>金利支払い→50億ドル
>軍事費
>退役銀人向け福利厚生
社会保障費
・3月3日→260億ドル
・3月12日→120億ドル
・3月19日→120億ドル
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年2月11日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。