見直されるべき再生可能エネルギー認定制度 --- かわにし のりひろ

アゴラ

再生可能エネルギーの買取制度の問題点を指摘したりすると、よく言われるのが全体を否定しているように思われてしまうのも大きな誤解であるが、この認定制度の甘い認可に対して、少し意見を述べたい。

そもそもの問題は、認定制度が、土地や設備を確保していなくても計画を認定することにしたところに大きな問題がある。住宅ローン減税やその他国の補助金等は初期の審査や実行後の検査をしっかりして実施しているのだが、FITに関しては金融業界からの依頼から上記のような仕組みとなった。


理由は、買取価格が決まってなければ設備投資資金を融資しにくいというのが建前だが、実際賃貸マンション経営やその他では事業資産までしてしっかり融資しているので、そのような屁理屈はおかしい。どうも実行力のない事業者の延命措置やその他のバイアスも大きな要因であった。FITのおかげで焦げ付いた土地の価値を過大評価することも出来たので。

ここらへんは、どうしてこのような制度になったのか、司法の手でも入れて解明をする必要はある。

私もこの手の土地に関しては、色々ご相談をうけたり、何とか認定後の工事を着工出来るように手続きできないかと相談を受けたりするのだが、はっきり言って皆さん、私も素人に近いのだが、私以上に知らないことが多いことに驚く。

この現状はどうして、そうなったのかというと、安易な解説も多いのが現状である。
太陽電池発電設備を設置する場合の手続き

簡単に説明すると、さまざまな場所に設置できて、公共産業システムは3相3線200Vで、電気事業法の届出ですむように簡単に読み取ってしまうが、これは経済産業省だけの論理であり、実際は、色々な許可や申請などが必要なのである。

電気事業法のみクリア出来れば着工出来るように思えるが、実際は建築物であるので、建築基準法が必要だが、電気事業法の適用をうけるものは、適用外となっているので、そこで建築関係の申請が要らないと勘違いをするのが最初の始まりでもある。本当は、4m以上の高さがあるものは、確認申請が必要なので、効率のいい角度を作ろうとすると少し場所によっては危ないところはたくさんあるはずで、まともな設計をする人ならここらへんはすぐにわかる。

本当に大型太陽光を検討するのであれば、以下の法律関係を確認していき、しっかりその場所が適用できるのかをクリアしなければならない。

1 国土利用計画法
2 各地方自治体の土地利用の条例
3 土壌汚染対策法
4 各地方自治体の公害等の防止条例や環境評価の条例
5 森林法(場所が森林であれば)
6 各地方自治体の自然環境条例や自然公園法
7 鳥獣の保護及び狩猟の適正化などの法律や保護動植物関係
8 工場立地法
9 農地法
10 地すべり防止法や、砂防法など急斜面なども含む法律関係
11 河川法
12 景観法
13 各地方自治体の景観条例等
14 文化財保護法
15 各地方自治体の文化財保護法
16 都市計画法
17 宅地造成等規制法
18 建築基準法

ここらへんがやっと出来てなおかつ電力会社との系統連携協議である。このような長い道のりがあるのだが、皆さん簡単に実施できるとの思い込みも激しく、説明には苦労をする。近頃は面積あたりから単純に収支を簡単に計算出来るソフトもあるので、皆さん取らぬ狸の皮算用もきつく、説明を真面目に聞かないのも特徴である。

このような計画をする方の多くは、言葉は悪いが、地方遊興施設会社の社長さんに多いのも特徴だ。またそれに訳のわからないコンサルタントも数多く出席する。最後は、「○○先生にお願いして特区にしてもらいましょうか」が決め台詞なのだが、特区にする時間より真面目に検討してそれだけの検討費用を支払えばいい。

このような状況が市場で起こっているのが現状で、従って大型太陽光の案件は非常に多いが、打率にすると20~30%だ。夢みたいな話が多く、作業するだけムダが発生する。そのため実際は、まともな市場にならないのも現実。

この問題点の大きな改善点は2つ

  1. しっかりとした設置手続きマニュアルを国が示すこと
    (これは国土交通省や環境省を巻き込んで制作することが重要です)

  2. 買取認定は全て電力会社協議後、電気需給契約書で行うこと

この2つで問題は解決する。有識者会議がそのような方向になることを期待する。というか、実務作業しましょうか。発注お待ちしています(笑)

かわにし のりひろ
会社員 コラムニスト 
マルハビ日記