ダイエットとは、wikiにも記されているように本来「制限食」や「食事療法」を意味しますが、ここでは「痩身」のために行う行動全般についてダイエットに含めるものとします。
そもそも人がダイエットに励む理由は何でしょうか。その理由としては、
・健康でありたい
・憧れの有名人の体型に近づくため
・おしゃれな服を着こなすには、やや細身の方が望ましいから
・太っていることは自分にとっても連れにとっても恥ずかしい
といったことが挙げられるでしょう。
心理学では、思春期の少女が食べることを無理に抑えることは親のしつけに対する反抗を示しているともいわれますが、ダイエットという行為は基本的に人間の本能や欲望に合致しているといえます。
私個人は適度な食事制限と運動については賛成ですが、過度な偏食に基づくダイエットには賛成いたしかねます。
しかし、過度な偏食にのみ頼るダイエットは体に良くないということは誰でも知っていそうな事柄ですが、世間でダイエットに励む女性の全ては十分な運動量を確保していないでしょう。その一因は学生時代の体育にあると私は考えます。
文科省の「平成25年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」によると、とくに中学生女子は体育の授業以外で運動する習慣が少なく、また運動そのものを好まない率も高いとありました。当たり前ですが、これは因果関係としては運動を好まないがゆえに運動習慣が乏しいものと考えられます。
思えば私も、体育の授業でサッカーやバスケなどの球技をプレーすることは楽しかったのですが、器械運動は苦痛だった記憶があります。もちろん、世の中には球技が好きな人もいれば嫌いな人もいるでしょう。しかし、世の中には特定の運動が嫌いであっても、あらゆる運動を嫌う人はいないでしょう。もし、全ての運動が嫌いと主張する人がいれば、それは様々な運動を体験していないだけです。
この点について私の卒業した学部の体育は体育学部でもないのに特殊で、体育の授業としてサッカーやバスケといったお馴染みのスポーツ以外にも、アーチェリー、スカッシュ、スキューバダイビング、ゴルフ、フェンシング、筋トレ、気功、ピラティス、フライングディスク、ウォーキング、空手、バレエ、合気道などが週ごとにほぼ自由に選択でき、外部講師による教授を受けては多様な仲間と共に様々なスポーツを楽しんでいました。球技嫌いの人でもバレエなら西洋文化に興味があるからやってみようとか、合気道や空手なら護身術として役立ちそうとか、旅行が好きだからスキューバダイビングを試してみようとか、ウォーキングやピラティスなら美容に良さそうといった動機で楽しむ人がいたのです。
もちろん、公立の小中高でここまでの多様性を確保することは殆ど不可能ですが、工夫すれば、ウォーキング、筋トレ、ピラティス、フライングディスクなどの授業を行うことは可能でしょう。ゴルフやバレエについても、その有料レッスンを行う企業が学校に出向いたり生徒を教室に招いたりして楽しさを伝えるのです。そうすれば意外な才能の発掘や顧客の獲得にもつながるでしょう。
男性と女性ではスポーツを入門する際の動機付けが異なることがあります。女性はダイエット目的(美容目的)、そしてグループづくりというインセンティブが強いでしょう。女性に顕著なインセンティブを通じて運動習慣を身につけさせれば、歩き方の改善やダイエット、喫煙率低下、さらには医療費削減にもつながるかもしれません。
義務教育期の体育は好きな種目ばかり実施すればよいというわけではないでしょうが、運動嫌いの人にはまず運動の楽しさや美容効果を覚えてもらってはいかがでしょうか。
『近代:社会科学の基礎』著者(個人事業主)
酒井 峻一
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