常連客になりたければ、クレジットカードを使ってはいけない --- 内藤 忍

アゴラ

私の知り合いに無類の寿司好きの経営者がいるのですが、彼は自分の気に入っている寿司店に行くと、支払は必ず現金で行います。クレジットカードを持っているにも関わらず、それなりの高額の支払いを、敢えて現金払いするのには、お店に対する配慮があります。


クレジットカードは、カードの種類にもよりますが、通常3%から5%程度の使用料をお店側が負担することになっています。例えば、1万円の飲食代の支払いをクレジットカード払いにすると、お店は500円のカード手数料を負担しなければなりませんから、手取りは9500円になってしまうのです。

利益率が20%のお店で5%というのは4分の1ですから、かなり大きな比率です。実は、お店を経営している人たちは、カードをなるべく使って欲しくないというのが本音です。その分、お客様に還元できるからです。

利用者側からすれば、カードも現金も同じ料金。しかもカードなら手持ちの現金も不要だし、支払は先になるし、ポイントも付くということで、どうしてもカードを使いたがります。私も、支払はできるだけカードでと思っています。

しかし、愛用している馴染みのお店であれば、「ニコニコ現金払い」。これが、お店の方への礼儀でもあり、お客さんとして大切にされるためのポイントになるのです。

それと同じことが、宿泊予約サイトでも言えます。楽天トラベル、じゃらん、一休といったサイトは宿泊先を紹介し、利用料金の10%から15%程度を宿泊施設から手数料として徴収していると思われます。

5万円の宿泊料金でも、宿泊予約サイト経由の予約で、しかもカード払いになると、2つの手数料を合わせて20%近くを施設側が支払わなければなりませんから、1万円が消えていきます。20%の利益率でもまったく儲からない計算になります。とは言え、部屋を空けておくよりはマシと思えば、集客力の弱い小さな宿は、ネットの宿泊予約サイトの集客に頼るしかないのです。

最近は小さな宿でも自前のサイトに宿泊予約ができるページを作っています。もし、宿に直接予約を入れてくれて、支払いも現金で払ってくれれば、利益率が20%アップする。宿の経営者からすれば、そんなお客様は神様のように見えるでしょう。

一度きりの宿であれば、ネットで宿泊予約サイトを使って比較しながら、行きたい宿を決めるのが良いでしょう。しかし、頻繁に利用する施設で、特別な常連客としての扱いを受けたければ、直接コンタクトして予約し、支払いは現金で。これが旅の達人のお金の使い方です。

本当に気の利いた経営者のいる宿であれば、そんな宿泊利用者側の心配りを汲んでくれるはずです。具体的に何をするかは、ここでは敢えて書きませんが……。

飲食店や宿泊施設とのお付き合いは、予約をする時から既に始まっています。せっかく行くのであれば、支払方法も気持ちよく感じてもらう方法をお客として選択し、より満足できる時間を過ごす「Wi-n-Win」の関係を長期に構築する。その方が、結局はおトクなのです。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年3月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。