投資の情報収集の基本は「一次情報に当たる」こと --- 内藤 忍

アゴラ

バングラデシュで不動産投資というと、こんな意見を言う人がいます。

「土地の価格は既にかなり上がってしまったから、もう投資の妙味はない」
「バングラデシュ人はいい加減だから、騙されることがなくてもトラブルに巻き込まれる」
「建物の作りが、貧弱だからコンドミニアムは買わない方が良い」
「家賃の管理を現地に任せるのは危険」
・・・

しかし、そういう人たちに、

「バングラデシュ、行ったことあるの?」

と聞くと、行ったこと無いという方がほとんど。現地を見たことも無いのに、日本のメディアや知り合いから伝聞で聞いたことを、受け売りでコメントしているだけなのです。


投資をする場合の情報収集の基本は

「できるだけ一次情報に当たる」

ということです。新聞で報道されている記事を読むよりは、その当事者に直接会って話を聞いた方が情報の精度は高まります。人から伝聞で話を聞くより、実際に自分で見て確かめた方が、正確な事実が見えてきます。

2次情報、3次情報というように伝聞で伝わっていくと、「伝言ゲーム」のように情報が歪み、正しく伝えられなくなります。現地に行けば、全てのことがわかるとは言いません。しかし、本当にどんな状況で、どんなリスクがあるかは、自分の目で現地で一次情報を見てから判断しても遅くないのです。

新興国の場合、環境の変化が早いという点も注意が必要です。例えば、カンボジアに2年前に行った人が、カンボジアを語っても、恐らく既に情報としては陳腐化しています。10年前、20年前に行ったという現地の経験は別物と考えた方が良いと思います。

私もカンボジアに、昨年8月、11月、今年1月と3回行きましたが、わずか数か月でも街の情景が着実に変化しているのが、わかりました。成長期の子供のように、久しぶりに会ってみると大きくなっている。それに似た感覚です。

先週、現地に行ってきた人の話は参考になるかもしれませんが、半年前、1年前であれば、もう新しい情報にリプレースしなければ、間違った判断になってしまうリスクがあります。

さらに、日本のメディアで得られる海外情報は、アメリカ、中国、韓国といった特定の国に偏っています。東南アジアやアフリカ、南米が報道されるのは、内戦や天災、それに邦人が事件に巻き込まれて殺された時などに限定されています。

海外不動産投資をするなら、現地を視察し、物件を見るだけではなく、「誰から買うのか」「誰に管理してもらうのか」を自分の目で確認する。

人の意見は参考にしても良いですが、どんな情報収集に基づいた意見なのかは慎重に確認した方が良いでしょう。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年3月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。