見知らぬ「ベビーシッター」に子を預けざるを得ない現実

アゴラ編集部

すでにゼロじゃなくなってるんだが「待機児童ゼロ」を誇っていた横浜市で、若い母親が3月14日に2歳と8カ月の兄弟を個人のベビーシッターに預け、その後、子らが行方不明となり警察が捜索したところ、17日に保育室として使用されている埼玉県内のマンションで弟が見つかり保護されたそうです。しかし、兄のほうはすでに死亡していたらしい。ベビーシッターの男を事情聴取していた警察は、死体遺棄容疑で逮捕状請求するようです。


ネットで検索すると「個人のベビーシッター」の紹介サイトがけっこうあります。ベビーシッターというと、どこかバイト感覚の「子守り」のようなものを想像しがちなんだが、英国では「ナニー」とよばれる正規の職業です。社交パーティなど、子どもを連れて行けない「大人の世界」がある欧米でベビーシッターは一般的な「仕事」でもあり、社会的に定着もしている。しかし、日本にはほとんど歴史がありません。「十五でねえやは嫁に行き」という童謡『赤とんぼ』に出てくる「ねえや」を雇えたのは、戦前のごく一部の金持ちの世界です。

欧米のベビーシッターの特徴は、大人が留守の自宅へ入れて子どもの面倒をみさせる、ということでしょうか。他人を家へ入れるのに抵抗のある日本人はまだ多いと思います。横浜の事件で子らを預かった容疑者の男は、横浜から埼玉まで連れて行ってしまっている。ネット上では、名前も知らないようなベビーシッターに子らを預けた母親の非常識が批難されていたりするんだが、この国でベビーシッターは野放し状態です。まだ、システムも定着していない。容疑者の男は、ベビーシッター紹介のネット掲示板で悪評がたっていたそうです。このまま日本は少子高齢化で国力が弱まっていくんでしょうか。

素浪人♪の日々不穏
ベビーシッター、ネットの紹介サイト通じ依頼 ~問題の「業者」は2ちゃんねる「育児板」では悪評紛々だった模様~


GOP Lawmaker: KKK-owned Businesses Deserve Right To Ban Blacks And Gays
CROOKS and LIARS
米国憲法は、すべての国民は企業サービスを人種的社会的な偏見なしに享受できる権利を保障しています。しかし、共和党のサウスダコタ州の超保守派議員が、KKK(クークラックスクラン)のメンバーのようなオーナーは自分の好みに応じてサービスを拒否できる、という法案を提案して話題になっているらしい。これがサウスダコタ州議会に提出された同議員の法案なんだが、いわゆる「LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)」やアフリカ系米国人を「差別」する内容になっています。この記事では、法案を批判する人が「自由市場はまだ奴隷制を手放してはいない」と言っている。「自由」とは何か「自由主義経済」とは何か、というようなことを考えさせてくれる話です。

夢(65)
KUMAGAI
小保方晴子氏に対するバッシングが、行き過ぎ、と書いているブログです。確かに難しい問題です。論文の「捏造」など、あってはならないとは思うんだが、人類の科学技術の歴史において「間違い」は枚挙にいとまがない。そのすべては、まったく「無意味」でもありません。試行錯誤の上に成り立っているのが科学技術、というわけです。単純な「リテラシー」不足なのか、そうした人材が莫大な公的資金が投入されている巨大研究機関で重責を担っていていいのか、彼女の「直感」は何も示唆していないのか。今日の「言論アリーナ」では、そんなことも考えてみたいと思います。

‘Huge’ Physics Finding Supports Big Bang Theory
POPULAR SCIENCE
「ビッグバン」仮説というのは、この宇宙が誕生する重要な理論になっています。読んで字の如く宇宙創成時に「巨大な爆発」があったという学説。米国カリフォルニア工科大学などの研究チームが南極の観測所で「ビッグバン」の名残りである「マイクロ波」を観測した、と発表したらしい。「ビッグバン」仮説は、まだ確定されていない学説です。否定する学者も多いし、140億年と言われるほど前のことで証拠もない。その「証拠」が観測されたわけで、かなり重要な研究発表です。これ、「ビッグバン」仮説を裏付けるものとして日本の佐藤勝彦氏らが提唱する「インフレーション理論」にも影響を与えるでしょう。

Crimea Through a Game-Theory Lens
NY Times
大揺れに激動しているウクライナは、旧ソ連邦の一員でした。それが旧ソ連の崩壊と同時に分離独立。かつて同領域には、世界第三位の数を「誇った」核兵器があったんだが、1997年までにそれらはすべて破壊もしくは旧ソ連へ引き渡され、ウクライナに核兵器はありません。なぜウクライナが核兵器を手放したのか、といえば、米英ロシアが同国の領土保全を保障したからです。しかし、今回のプーチン大統領の「蛮行」は、この際の覚え書きを反故にする行動といえる。ウクライナで再核武装の動きもあるようなんだが、ロシアの圧力に手をこまねいている「国際社会」への不信感があるんでしょう。この記事では、ゲーム理論からウクライナ情勢を考えている。核保有国のごく近くにある非核保有国が、その核保有国に恫喝され、それを「国際社会」が何もできない、という状況は、極東のどこかで起きるかもしれない近未来です。


アゴラ編集部:石田 雅彦