日銀の追加緩和はあり得ない

小幡 績

みな勘違いしているようだが、日銀の追加緩和はあり得ない。

これは、私は昨年から言っていることだが、当たり前のことでいまさら強調することもない。

しかし、理解していない海外投資家や下心のある投資家が多すぎるので、あえてもう一度言うことにしたい。

黒田氏は日本経済は極めて順調だと思っている。問題はマインドだけ。それは昨年の4月に打破した。だからインフレは起こる。

さらに言えば、彼はポピュリズムが嫌いだ。

これが安倍政権とは違うところだ。

だから、追加緩和はない。

昨日の会見でみな分かっただろう。


議論は単純だ。

1:日本経済は順調だ。実体経済はもともと良く、昨年からさらなる好景気に入った。失業率はほぼ完全雇用を示す水準まで低下。全国平均でこれだから、東京はまさに過熱。引き締めの必要性すらある。

2:GDP増加率は、日本の潜在成長率は0%ちょっとだから、今でも需要超過で、これを上回っている。景気刺激策は要らない。

3:必要なのは気合。中央銀行の心意気だ。それでマインドを変える。日本の問題はデフレマインドだけ。だから、異次元緩和でこれを破壊した。それですべて終わっている。手段としても尽きている。

だから、今何かをする必要は全くない。

物価は順調に上昇し、円安から都市部の景気過熱による物価上昇も加わってきた。完璧だ。これまでの金融政策の妥当性が示されている。

消費税増税はもともと織り込まれている。実施されて、何か金融緩和が必要なわけではない。

これが黒田氏の考えだ。

だから、追加緩和は、世界的な激変がない限り、ありえないのだ。