「党」には「助け合って悪事を隠す」という意味がある

アゴラ編集部

国政ではどうも自公政権の与党が強過ぎ、野党のほうは第一党の民主党を含め、あまりパッとしません。みんなの党も不透明なカネの疑惑で党首が辞任し、日本維新の会も退潮基調は否めない。与党から秋波を送られれば、ヨロヨロとなびきかねない議員が多数いるようです。分断され、各個撃破され、特徴をアピールできず、劣勢を挽回できない。あまりにも与党が強過ぎ、議論なきまま、一方の政治勢力によって政治が押しきられる、という悪影響も懸念されるところです。


民主党、という「ブランド」は、2009年の政権交代以後の3年半で地に堕ちた感があります。首相と党代表がコロコロと代わり、いわゆる「政治とカネ」の問題で権力闘争が起き、数々の失政が続き、国民は愛想を尽かした。折しも景気や為替の反動期と重複し、2012年末の総選挙で返り咲いた自公政権が打ち出した景気経済対策が、一時あたかも効果があったかのように見えているんだが、それも賞味期限切れ、といったところです。かといって、あまりにも野党の力が落ちているので、自民党に代わる政治勢力がない。仮に今、選挙があっても自公政権は揺らがないでしょう。

「党」というのは「村」という意味もあります。もともと「あいまいでハッキリしない」様を表現する言葉だったらしい。角川書店の『新字源』によると「助け合って悪事を隠す」という意味もある。「徒党を組む」という言葉があるように「党」にあまりいい意味はありません。「ボストン茶会事件(Boston Tea Party)」の「Party」は本来「党」の意味で「茶会」ではないように、英語の「Political Party」を「党」に訳したのは幕末だったようです。武士の集団の呼称に「なんとか党」というのがあるんだが、有名な「水戸天狗党」や「土佐勤王党」も武士による一種の政治結社に「党」をつけた。明治期に入り、自由民権運動により議会政治が始まると「政党」ができてきます。

日本の政党政治の歴史は短くないんだが、その成熟度合いは自由民権運動のころよりも退化しているような気がします。民主党の前幹事長だった細野豪志氏が、党内で政治グループを立ち上げたらしい。2013年夏の参議院選挙で大負けした責任を取り、幹事長を辞任した細野氏。「自民党以外の選択肢を示したい」と結成した政治集団とは言え、党内でも10人程度の勢力にしかならない。2012年12月に海江田万里氏が代表になった民主党なんだが、同代表には頼りないイメージがあり、なかなか「党の顔」になっていません。細野氏らの動きで、民主党が再び国民の信頼を取り戻すことができるんでしょうか。いっそ党を出て「あいまいではない、助け合って悪事を隠さない」政党を新たに作ったらどうかと思います。

たまさしノート
民主党・細野前幹事長が代表を務める「自誓会」の政策「正社員になれる社会」について


20万人の博士,今どこで何を?
データえっせい
いわゆる「STAP細胞」問題で、今日、大阪で渦中の小保方晴子氏が記者会見をするようです。彼女については、博士論文の概要からして他論文のコピペが発覚するなど、いろいろ学術リテラシーのなさが指摘されています。本人がこれを自覚しているのかどうか、ちょっとわからないんだが、今日はそのあたりもわかるんじゃないか、と思います。このブログでは、その博士号を取得した人たちについてデータから考えている。ここにも書かれているように、博士論文の「代筆代行」というのはけっこう需要があるようで、自分の履歴に箔をつけたい経営者なんかがちょこっと私立の大学院へ通い、論文を出して「ドクター」になる、というのはよく耳にします。英語の「肩書き」にはミスターやミスなんかがあるんだが、ここに「Dr.」と書くと欧米なんかではかなり応対が丁寧になったりするらしい。国の政策で文科省の鳴り物入りで「博士号の大増産」が推し進められてきました。その一方、学術リテラシーのない研究者「博士」も増殖しているんじゃないか、というわけです。

TAG Heuer launches luxury phone with ‘perpetual power reserve’
engadget
時計メーカーの「タグホイヤー」が、液晶画面に太陽電池を埋め込んだ技術により、新しい携帯端末を出す、という記事です。同社は2008年にすでに携帯電話を発表しているんだが、この太陽電池の電力は不明ながら、待ち受けモードの際に充電しつつ使用するには充分らしい。この技術、液晶面に細かい凹凸をつけ、太陽電池の光源をスリットで受光し、同時にユーザーが画面を見ることができるようなプリズムのような効果を使っているようです。

Drone Images Reveal Buried Ancient Village in New Mexico
livesciece
ここんところ無人機「ドローン」の話題が多いんだが、それだけ使い勝手が良くなり、日常的に様々な場面で活躍するようになっているんでしょう。朝鮮半島でもけっこう飛んでるらしい。これは、米国ニューメキシコ州で、無人機を使った調査により、「プエブロ」というネイティブ・アメリカンの新たな遺跡と構造を発見した、というもの。これはユネスコの世界遺産にも指定されている一群の遺跡で「チャコ・キャニオン」といいます。熱探査の赤外線センサーを搭載した無人機を飛ばし、上空から遺跡を調べてみたらしい。考古学でも「ドローン」が活用される時代、というわけです。

Kochs Took Big ACA Subsidies
CROOKS AND LIARS
コッホ(KOCH INDUSTRIES)という米国の肥料やケミカル、鉱工業系の多国籍企業が、医療法からの補助金を得ている、という批判的な記事です。早期退職者制度へ140万ドル(1億4000万円)ほどもらっていたんだが、それがそのまま同社とオーナーである億万長者の兄弟の利益に付け替えられているらしい。いわゆる「オバマケア」に対して同社は、共和党支持なので批判しています。それにもかかわらず、健康保険でカバーされていない退職者に対する補助金をガメていた、というわけ。米国政府の補助金については、コッホに限らずほかにもいろいろ問題があるようです。


アゴラ編集部:石田 雅彦