「STAP細胞」問題で科学界は「性善説」の旗を降ろすのか

アゴラ編集部

いわゆる「STAP細胞」問題は、科学雑誌『nature』へ掲載された論文の筆頭筆者である、理化学研究所(理研)のユニットリーダー、小保方晴子氏が4月9日に会見を開き、新たな局面を迎えました。小保方氏は、理研の論文調査結果に対して不服申し立てを行うことを表明し、「STAP細胞」についてもその存在を強調、論文の取り下げについても拒否しました。


一方、論文の共同執筆者の主要な研究者は、次々に論文を取り下げることについて同意し、「STAP細胞」の存在は依然、証明できないながら理研内部で再現実験を行う、などと言っています。しかし、その中で、米国ハーバード大学病院の研究者、チャールズ・バカンティ教授も小保方氏と同様、論文の取り下げに同意していません。また、小保方氏の上司である理研の発生・再生科学総合研究センター副センター長の笹井芳樹氏は、一部マスメディアの取材に対して「『STAP』現象はある」と答えたそうです。

「STAP細胞」とはいったい何か。また、小保方氏はいったい何をもってして「『STAP細胞』はある」と自信満々で言い切ることができるのか、そのあたりをハッキリさせて欲しいと思います。論文の著者の中でも様々な言説が飛び交い、いったい「STAP細胞」があるのかないのか、来年2015年3月にも出される理研内部の再現実験の結果を待つしかないんでしょうか。もちろん、その前に理研以外のほかの研究者らにより、再現性が立証できれば、この問題も解決されることになります。

小保方会見は、理研の不正調査に対して抗弁する、という内容になっていたんだが、彼女は自分が書いた論文の質については全面的に非を認め、何度も謝罪していました。理研の調査にも問題がなかったか、結論を拙速に出し過ぎたのではないか、という批判もあるでしょう。ただ、今回の一連の騒動や疑惑により、日本の科学技術研究に大きな影響が出たのも確かです。論文発表や科研費申請に慎重になり、活発な議論ができにくくなり、研究者らの口が重くなった。研究機関内でも研究者同士、疑心暗鬼が生じる状態になっているようです。

こうした科学研究や論文は、研究者らが「ウソをつかない」ということが前提になって成立しています。『nature』の発表論文にしても、同誌は画像データの由来までさかのぼって正否を判断できるはずもない。論文審査である査読にも限界があり、論文記載内容を証明する画像などに間違ったものが提出されていればお手上げでしょう。もちろん、権威ある『nature』がグルになっている可能性もあり得ない。

研究者や科学者は、その良心と真摯な姿勢を担保にして研究を進めています。なぜなら、不正や捏造をしても、学会やほかの研究者らからすぐにそれが暴かれ、間違いや不正は厳しく批判されてしまうので何もメリットがない。今回も意図的な悪意があったとすれば、小保方氏の「動機」がわかりません。なので、同じ研究者はもちろん、我々も困惑するような事態になっています。

科学技術研究にとって、一種の「性善説」が重要、というわけす。では、それは今後どうなっていくんでしょうか。今回の「STAP細胞」問題により科学界が「性善説」に依存できなくするなら、査読や検証、研究機関内部での事前審査が必要になるなど、そのコストははかりしれません。稚拙な論文の不手際から疑惑が生じ、論文内容の真偽まで問われる事態になっている「STAP細胞」問題。科学界は「性善説」の旗を降ろすんでしょうか。

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アゴラ編集部:石田 雅彦