私がウクライナ問題をしばしばこのブログで取り上げる理由はこの問題解決につまずいたら他地域やほかの国々でも同様の問題が連鎖反応的に生じかねないため、早急なる解決が求められると考えているからです。ですので日本とはあまり縁のない国ですが、私は問題解決の手法について興味深く見ているのです。
まず、大局的にみるとこの問題はウクライナの国内問題であります。クリミアの一件も国内問題からロシアにその解決の手助けを求めたという全くもって好ましくないやり方でしたが、だらしないウクライナ政権が国内をコントロールできなかったことが問題の根本にあります。
東部ウクライナについても確かにロシア系の住民は多いのですが、クリミアほどではなく、ロシアも東部ロシアについて併合する動きは今のところ全く見せていません。プーチン大統領も賢いですからバランスを考えているはずです。とすれば今起こりつつあるロシア系住民とウクライナ政府との戦いは遠くない日に一旦は収まるのではないでしょうか? 理由はウクライナ政府が連邦制を含む自治権拡大へ譲歩の姿勢を見せているからであります。
つまり、今後予定されている欧米ロシアとウクライナ政府の四者間協議においてロシアが政府の親ロシア派への武装強制排除を止めさせることを条件に自治権拡大の譲歩を支持すればそれがロシアからウクライナのロシア系住民へのメッセージとなるとみています。その時点でウクライナ政府がロシア系住民の多い東部ウクライナの地域に対してどのようなアプローチをとるか、まさに国家の能力を問われることになります。
一方でウクライナの経済は当面、相当低迷するとみられ、通貨は短期間に5割以上も暴落しており、中央銀行は金利を一気に3%も引き上げ9.5%としました。ウクライナの貿易がロシアに頼っていること、特にその工業地帯が懸案の東部ウクライナにあること、通貨暴落によりロシア向け輸出ドライブがかかることを勘案すれば、ウクライナ政府としては多少甘いオファーでもここはロシア系住民との妥協点を見出すことが大切です。
ところでウクライナの問題が降ってわいてきたような気がしていたのですが、ウィキペディアに気になる記述がありましたのでコピペしておきます。背景は2004年の同国の大統領選にかかり、欧米の息のかかるユシチェンコ候補とロシアの息のかかるヤヌコーヴィッチ候補の激しい戦い(オレンジ革命)に関して、一般的にはロシアが同選挙に介入し過ぎたという見方ある一方で欧米、特にアメリカの関与について取りざたしたした部分であります。
「この選挙期間中、欧米のマスメディアはロシア人とウクライナ人の間で民族的対立が激化してウクライナ国民に分裂が生じているように報じた。この選挙ではアメリカのウクライナ系政治団体の資金援助やソロス財団の公然の介入が行われており、ウクライナ自身の革命と言うよりは外国勢力の干渉の結果だったという分析もある。一方、干渉があったとはいえ、それだけでなし得たものではなく実際に国民の間に従来の政権に対する不満があったことは大きな要素のひとつであった。また、アメリカが反ロシア派を支援した背景には、ロシア帝国時代やソ連時代にロシア勢力から弾圧を受けた非常に多くのウクライナ人がアメリカに亡命を余儀なくされたという歴史上の経緯も関係している、という分析もある。
つまり、アメリカに亡命したウクライナ人の作った組織がアメリカ政府や関係者に働きかけ、反ロシア的な勢力を支援させるということは不自然ではない、というのである。しかし、このようなロビー活動が表沙汰になることは少なく、こうしたもっともらしい分析もこれまでの経緯から類推した憶測の域を出ない。いずれにせよ「アメリカ側の都合だけで革命が推進された」であるとか「オレンジ革命は悪しき旧共産主義的な独裁体制からの民主化を達成した」というように単純化できる問題ではない。その後、ウクライナではしばしば「革命」が叫ばれることが習慣化しており、2007年にも反ユシチェンコ派の議員が「革命」を実行している。」(以上、ウィキより)
今回の騒動もどちらかといえば外野である欧米から仕掛けられた感じがしないでもなく、同国は欧米とロシアの対立構造の真っただ中ということになるのでしょうか? 本来であれば、ウクライナ自体がモノを決めるべきであり、奇妙に欧米やロシアの影響を抱き込むことが逆に将来に向けた解決策を狭めているとも言えそうです。
コトがこれ以上荒れないことを強く望みます。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年4月17日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。