アメリカをはじめ、世界で働くパワフルな女性の間で「下方婚(marrying down)」が増えているせいでしょうか。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が、興味深い記事「増えつつある女性の『下方婚』──夫は大黒柱ではなく協力者」を掲載しています。カップル・セラピストであるソニヤ・ローデス氏が執筆しているだけに、ポイントを押さえた内容でした。
下方婚とは何かというと、1)学歴、2)年収、3)家柄──など妻が夫を上回る結婚スタイル。ピュー・リサーチによると、学歴の高い女性が下方婚をした夫婦の割合は2012年に27%へ上昇し、統計を開始してから50年間で初めて、その逆の夫婦15%を上回ったといいます。2012年時点で新婚夫婦のうち24%は妻の収入が夫よりも多く、その比率は1960年の6.2%の約4倍に上りました。
同記事では、ジェーン・オースティン著「高慢と偏見(Pride And Prejudice)」のごとき上方婚や、夫が働かなくなるリスクをはらむ下方婚といった考え方は古臭いと指摘。成功を収めた女性に必要なのは、「彼女らを支援し、サービスや収入の面で家庭に寄与し、愛するパートナーとなれる男性」と分析します。上方婚に挙げられるアルファ・メイル(alpha male)=ボス的な男性より、相互を尊重できるベータ・メイル(beta male)=ボスに従う男性こそ、求められる姿だとか。往年の人気ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」のキレ者女弁護士、ミランダの夫がバーテンダーだった例が思い出されます。あの夫婦、お互い学歴と収入の差こそあれ協力し合って「下方婚」の先駆けと言えるでしょう。ミランダ婚と呼びたくなります。
ハリウッドでは、下方婚のケースが多いですよね。天下の大女優ジュリア・ロバーツは夫にカメラマンを選び、歌姫マライア・キャリーも知名度の低かった俳優/ラッパーのニック・キャノンと結婚。当時、人気絶頂だった女優ジェシカ・アルバが選んだ男性なんて、映画「ファンタスティック・フォー(Fantastic Four)」の制作アシスタントでした。
ジュリア夫婦は、下方婚であれ美男美女でお似合いです。
(出所 : Galleryhip)
お互いが最愛のパートナーと認め合うなら、それぞれ個人に合った上方婚なり下方婚なり選んでいただければよいでしょう。ただ、どうも下方婚だと女性を中心とした友達や親族からベータ・メイルをさんざんコキ落ろされ、「あの程度の男しか見つけられないの!?」と批判されるそうな。女の敵は女とは、よく言ったもんです。逆に上方婚だと、あくまで個人的な意見ですが亭主関白な旦那様だったら精神的に圧迫されそう・・。
ニューヨークの女性は社会進出が目覚ましく、デートでもかっこ良くお勘定してしまうくらいですから下方婚の傾向は高まるでしょう。ハイヒールさばきが様になる女性、そんな結婚したい男性陣に、ひとつだけ気をつけていただきたいことがあります。
それは、決して女性が住んでいるアパートに男性が転がり込まないこと。
筆者の周囲で今まで女性のお宅で同棲を開始した恋人同士で、結婚にいたったケースは皆無なんです。ゼロですよ、ゼロ!結婚適齢期に5年以上も付き合った方々、ほとんどが別れてしまっています。そういえば、SATCでもミランダの家で半同棲していたときスティーブと別れましたよね?子供が出来て結婚するにいたり、ブルックリンの一戸建てを購入したことが思い出されます。
なぜかというと、女性がもともと住んでいた部屋に男性の居場所がなかったから。女性は家中の隅々まで自身にとって居心地良いルールを敷いており、男性が違反すると罵詈雑言が飛ぶこと必至。ケンカしようものなら、すぐに「出て行って(get out)!」の二言が飛び出すとあって、結局男性が去ってしまったんですよね。不思議と男性のアパートに女性が引っ越した場合は、関係ないんですけど・・。
下方婚を選択するカップルの解決策は、いたってシンプル。どういった割合でも、2人でお金を出し合って新居に引っ越せばいいんですよ。お互い話し合って配置や部屋割りを決めるため、お互い気持ちよくルールが築き合えるというものです。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年4月22日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。