対中国におけるベトナムの矜持

アゴラ編集部

中国の「覇権主義」というのは、古来からの「中華思想」に影響されることも多いようです。ようするに「先進的」な中国の文化を周縁諸国地域に「分け与えてやる」という発想。この同心円状の距離感から「中華思想」の強弱が生じる。韓国が日本を「後進的」と蔑みたがるのも、どうやらこうした歴史的な背景があるらしい。中国を中心にした地政学的な位置関係で言えば、韓国のほうがより「中華思想」に近い、というわけです。


古くから中国の支配は周縁諸地域に及んだんだが、距離的にそれほど遠方ではないのにもかかわらず、これに抗して最後まで支配されない民族があった。日本とベトナムです。日本は海が、ベトナムは雲南あたりの山岳地帯が攻略の妨げになっていました。「中越」といっても新潟県じゃないほう、中国とベトナムの関係はかなり微妙なところがあり、国境紛争が絶えず、ベトナム戦争後の1979年には中越戦争まで起きています。米国に勝利して百戦錬磨のベトナム軍に、圧倒的戦力で侵攻した中共軍はかなりの損害を出して撤退。その際、占領地で残虐な蛮行をしつつ引き上げていったらしい。ベトナム人の中国人に対する意識には、こうした過去の体験があるわけです。

5月3日以降、南シナ海において何度かに渡り、ベトナムの海上警察巡視船が中国の公的な船舶と物理的に衝突を繰り返したようです。この海域では、中国がベトナムを無視して海底掘削調査をし、西沙諸島の領有権で揉める両国の関係が一触即発の状態になっている。日中関係で言えば、尖閣周辺で中国が海底調査を実施し、その関係船舶と海保の巡視船がぶつかる、といったかなりキナ臭い話です。ベトナム側は中国船が意図的に衝突してきた、と主張し、中国側もこの事件に限らず同海域での中国の主権を主張する、といった発表をしています。

一年ちょっと前の2013年1月、安倍首相がベトナムを公式訪問しました。対中国に対して同じ立場にいる両国が包囲網を構築しよう、という意図もあったわけなんだが、ベトナムに対するODAも日本が最も多く「ゆるやかな同盟関係」と表現されるように一種の蜜月状態が続いています。日本から企業進出や経済的援助を引きだそう、というベトナムのしたたかな戦略もあるんだろうが、対中国についていえばベトナムに、中国には1979年の戦争でしたたかに勝っている、という強力なカードがあり、日本と一緒にするな、というプライドも案外あるのかもしれません。

地政学を英国で学んだ
南シナ海でのベトナムと中国の艦船衝突の背景


Google is the top publisher on Apple’s iOS App Store(but not on Google Play)
BGR
なんとも皮肉なことに、アップルのiOSのアプリストアでは、Googleがトップのダウンロード数を出しているのにもかかわらず、Google Playでは必ずしもそうではないようです。この記事は「App Annie」の内容から書いているんだが、ゲーム以外のダウンロード数では確かにGoogleがランキング一位です。アップル自身は五位。ゲーム一方、Googleの売上げのほうではFacebookが一位になっている。二位がGoogle自身というわけ。これはiOSのダウンロードで、GoogleがやってるYouTubeやGoogle mapがかさ上げし、GoogleアプリのほうはFacebookアプリ自体やこないだFacebookが買収したWhatsAppなどのダウンロード数が影響してるようです。興味深いのは、こないだ米国市場に上場申請した中国のアリババグループが、アップルのほうにしかランキングしていないこと。さらに、売り上げランキングをみると、どちらも「日本」のLINEが上位にランクインしています。

巡洋戦艦天城の一部が今なお健在という話
【ネタ倉庫】ライトニング・ストレージ
こないだ護衛艦対抗カレー大会が開かれた横須賀市の海上自衛隊関連で、旧海軍の「天城」がまだ使われている、という記事です。「天城」は1923年(大正12年)の関東大震災で被災し、そのまま軍縮条約のために解体された艦。なかなか興味深い話ではある。ところで今、ブラウザゲーム「艦隊これくしょん」略して「艦これ」は一周年イベントの真っ最中なんだが、当然、当方はE5ステージまで攻略済みです。あの難関を経て、やっともらえるのが軽巡「酒匂」の一艦だけ。脱力しますね。

Neanderthals were not less intelligent than modern humans, scientists find
the guardian
ネアンデルタール人がいったいどんな「人たち」だったのか、というのは欧米人にとっていたく好奇心をくすぐるもののようです。日本人はネアンデルタール人と聞いてもあまりピンと来ないんだが、欧米に行くと「こいつはひょっとするとネアンデルタール人かも」という風貌や体躯をした人を見かけます。異種交雑があった、ということも定説になっているんで、妙な親近感がわくのかもしれません。この記事では、ネアンデルタール人は現代のヒトと比べても知性で劣っていなかった、という研究を紹介。生物種を「知性」で比べたがるのも何やら欧米人らしい。「知性的な生物」を殺すのは罪悪、という捕鯨禁止論に通じるものがありそうです。ところで、英文のタイトルなんだが、よく「researcher said」とか「scientist find」という言葉が冒頭に位置する記事を見かけます。ここんところの流行は、最後に同じ文言を置く、というもの。この下の記事もそう。確かに科学系記事を検索すると、どれも同じ言葉が最初に並んでいることが多い。こっちのほうが親切ですな。

Chimpanzees show similar personality traits to humans, researchers say
PHYS.ORG
チンパンジーの「性格」について書いている記事です。チンパンジーを「チンパンジン」と呼んだ研究者もいたりするんだが、チンパンジーと人間との違いは、どのあたりに境界を置くか、によって変わってくる。おおまかな境界なら生きとし生けるものすべてが「同じ」になってしまいます。ただ、遺伝子の近さで言えば、チンパンジーは現生生物の中でもっとも人間に近い。この記事では、174匹のチンパンジーを「誠実さ」「支配」「外交的」「友好さ」「知性」といった項目で統計的に心理分析した結果、彼らの基本的に性格は「支配」だったらしい。「遊び心」や「社会性」がそれに付随する、というわけで、これが人間に著しく似ている、と書いています。


アゴラ編集部:石田 雅彦