米5月小売売上高は、やっぱり強い伸びを維持できませんでした。前月比0.3%増と4ヵ月連続で増加しながら、市場予想の0.6%増には届かず。前月の0.5%増(0.1%増から上方修正)を下回っています。
内訳をみると、13カテゴリー中6項目が増加。4月の9項目を下回ってます。米5月新車販売台数が2007年2月以来の高水準だったように、自動車は1.4%増と前月の0.9%を上回り、4ヵ月続けて全体をけん引しています。ところが自動車を除くと0.1%増に過ぎず、市場予想の0.4%増を下回っています。特に一般雑貨が0.6%減のところ百貨店が1.4%減と4ヵ月ぶりに減少に転じました。服飾も0.6%減と3ヵ月ぶりに減少。スポーツ衣料も0.1%減だったほか、食品・飲料と健康も0.1%減とそろって前月からマイナスへ反転しています。外食も0.2%減と、2ヵ月連続でマイナスに落ち込みました。電化製品は0.3%減と、2ヵ月連続で減少しています。
広い店内に客足が乏しいのは、切ない限り。
(出所 : New Yorker)
JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「コア小売売上高(自動車、ガソリン、建築材を除く)は横ばいにとどまり、3~4月分の修正もコアで見ると芳しくない」と指摘。その上で「1~3月期国内総生産(GDP)確報値の予想を従来の1.6%減から1.7%減へ引き下げ、4~6月期GDPも当方の予想3.0%増を下回るリスクを見込む」と慎重な見方を寄せています。
以上、米5月小売売上高は確かに4月分の上方修正があったにしても、消費がどんどん増加していく様子をみせていません。特に服飾、百貨店、外食、電気製品など裁量部分の消費が落ち込んだ点は注意。服飾については大寒波で冬場の売上が低調だった上に5月の消費がイマイチだったため、ニューヨークではファースト・ファッション大手H&Mが早くも夏物セールを開始しています。以前に申し上げたように、所得に占める賃金の割合が低下するほか家賃と所得の伸びミスマッチでは消費にバラ色でいられないんですよね。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年6月13日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。