毎週読んでいるビジネス誌「日経ビジネス」最新号(2014.6.16.号)の特集は、セブンイレブン。「セブン 鉄の支配力」というタイトルです。
セブンイレブンがローソンやファミマといった他のコンビニとは、まったく別次元の経営をしていることがこの記事から良くわかります。
最近、都心部でセブンイレブンの店舗が急速に増えているのを実感します。データを見ても、セブンは昨年1579店舗、今年も1600店舗を超える出店をする予定だそうです。国内総店舗数の1割を新規出店しています。
ちなみに、昨年の出店はローソンが870店、ファミマは1500店の出店目標だったが未達に終わりました。それぞれの総店舗数は11,000店前後ですから、セブンとさらに差が開いているのです。
また、1店舗の一日当たりに平均売上額はセブンが664,000円に対して、ローソンは542,000円、ファミマは521,000円。既存店の売上が伸びているのもセブンだけ(2014年2月期)と、こちらもセブンと他社には大きな差があります。
セブンイレブンのライバルは、既に他のコンビニでは無いのです。
私自身、牛丼は吉野家でしか食べないのと同じように、コンビニは緊急時以外はセブンイレブンしか入らない「セブンフリーク」です。お店の清潔さ、品揃えの豊富さ、商品の魅力など、満足度がまったく違うからです。
そんな経営を支えているのが、グループを率いる鈴木敏文会長です。
ところが、トップの「天の声」が社内を混乱させる例として、記事の中で「塩事件」というのが紹介されていました。
昨年6月に発売予定だった塩ラーメンが、会長の試食の際に「しょっぱくないか?」と味に疑問が呈されて、発売当日に販売中止が決まり、商品が並んだ店舗でも20分ですべて撤去されたという「事件」です。
店頭に並ぶ準備までした時点で、役員が試食をして、販売中止になるといった段取りを本当にしていたのでしょうか? メディアの「作り話」でないことを願いますが、鈴木会長のカリスマ性によって会社の方向が決められ、それに社員がついていくという社風になっていることは確かなようです。
トップが長期に経営を続けると、社内が官僚化し、イエスマンがはびこって、社会とのズレが生まれ、経営がおかしくなるという例は多々あります。しかし、セブンイレブンは「事件」が起こるくらいトップダウンなのにも関わらず、顧客のニーズにぴったりと寄り添った経営をしています。どうやら例外のようです。
初期の頃のキャッチコピー「あいててよかった」も、最近の「近くて便利」も鈴木会長の思いつきだとされています。
これから、ウォルマートやカルフールのような、グローバルな小売りチェーンの日本代表として、セブンイレブン流を世界に広げて欲しいと思います。その中で、唯一の死角は、鈴木会長がいなくなることです。ポスト鈴木として、誰がどのようにしてリーダーシップを取り、グループを引っ張っていくか。これがセブン&アイが抱える最大の懸案事項でしょう。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年6月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。