ピカソと「ヒゲの男」との関係を探る

アゴラ編集部

パブロ・ピカソといえば、キュービズムやシュールレアリスムといった一見、難解な表現で有名です。顔がひん曲がってたり、横顔と正面が混在していたりする女性たちは確かに強烈。しかし、キュービズムを創始する前には、いわゆる「青の時代」や「薔薇色の時代」といった具象的で比較的わかりやすい表現をしていた頃もあります。

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Picasso’s The Blue Room (detail), painted in 1901. Photograph: AP


そもそもピカソのデッサン力は並外れたもので、少年時代は「神童」とも言われていました。彼の父親は美術教師だったんだが、息子の才能に脱帽し、その絵画教育に邁進することになります。スペインの古典的なアカデミズムは彼にとって退屈で窮屈なものだったらしく、早々に美術学校を止めてパリへ出て若い芸術家たちに刺激を受ける道を選ぶ。わかりやすい絵から難解な絵へ、というのは「天才」ならではの軌跡なのかもしれません。

ピカソがパリで初めての個展を開いたのは1901年のことです。そこから1904年までが、いわゆる「青の時代」とされるわけなんだが、1901年の作品に『青い部屋(The Blue Room)』というのがある。ピカソが当時、住んでいたアトリエを描いたもので、パリで活躍していたロートレックの『メイ・ミルトン』のポスターが絵の中の壁に貼ってあることでも有名な作品。所蔵は米国ワシントンDCにある「フィリップス・コレクション」なんだが、この『青い部屋』を赤外線で調べてみると、今の絵の下に男性の肖像画が隠されていることがわかったそうです。

カンバスや絵の具が高価だった時代、画家たちはよく一枚のカンバスに複数の絵を重ねて描いたようです。特にゴッホの絵画には、貧しかったせいか、一つの作品の上に塗り重ねるように描かれたものが多い。X線や絵の具の成分での分析によれば、草むらの風景画の下に女性の肖像が描かれていたり、庭の風景画の下に黒猫が隠されていたり、はたまた花の静物画の下に二人のレスラーが格闘していたり、というようなことがわかってきています。ゴッホの場合、現在知られている1/3の作品はこうした重ね描きのものらしい。

しかし、ピカソの『青い部屋』に塗り込められたこの男、いったい誰なのか、と書けば何やら『美の巨人たち』(テレビ東京)の小林薫氏のようになってしまうんだが、口ひげを生やし、手に三つのリングを持った男の正体について、これまで様々に推理されてきたようです。自画像ではないことはわかっています。ひょっとすると、パリにおけるピカソの最初の個展を手がけたアンブロワーズ・ヴォラール(Ambroise Vollard)かもしれない、とこの記事には書かれている。

「青の時代」の始まりを告げる重要な作品『青い部屋』からは、当時のピカソの精神状態や画風の変遷などがわかるかもしれません。記事によれば、ピカソの『アイロンをかける女(Woman Ironing、1904年、グッゲンハイム美術館所蔵)』の下にもヒゲの男が描かれていることがわかっている。この『アイロンをかける女』からピカソは「薔薇色の時代」に入った、とされているんだが、画風が変わるごとに現れる「ヒゲの男」に対する興味がいやが上にも高まります。

the guardian
Picasso’s The Blue Room hides a secret painting


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io9
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100ドル紙幣と米ドルの秘密
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How to make sure your iPhone is ready for the beach
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Airline apologises for World Cup Twitter gaffe
The Telegraph
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アゴラ編集部:石田 雅彦