ダウ平均がクリスマス商戦前の2013年11月21日に16000ドルを超えてから、はや7ヵ月。1万7000ドル手前で、足踏み状態が続いています。6日には終値ベースであと55ポイントにまで迫ったものの、大台突破が近くて遠い存在と化してしまいました。
では、過去に1000ドルの大台超えに要した期間をみてみましょう。
2013年11月11月25日に16000ドル超え・・・約6ヵ月
2013年5月7日に15000ドル超え・・・約6年
2007年7月19日14000ドル超え・・・約3ヵ月
2007年4月25日13000ドル超え・・・約6ヵ月
2006年10月19日に12000ドル超え・・・約7年
1999年5月3日に11000ドル超え・・・約2ヵ月
1999年3月29日に10000ドル超え
こうしてみると、最短で2ヵ月。現時点でマーケットは、涼風が吹いている割に一足早く夏バテ状態なのでしょうか。
ひとつ言えることは、構成銘柄に潜む「戦犯」の存在。ダウ平均の構成銘柄のうち年初来で下落する銘柄は、全体の約3分の1に過ぎません。しかし、以下の4銘柄が問題なのです。
(出所 : USA Today)
以上の株価は、もっとも株価が高いビザを筆頭に3桁を超えるヘビー級。株価が30ドルそこそこのインテルがいくら年初来18%以上の躍進を遂げたところで、比重の大きな銘柄には敵わないのです。
4銘柄は、なぜ下落しているのでしょうか。
ビザは、米5月雇用統計をはじめ米指標に改善がみられ消費拡大の期待が膨らむ一方で株価収益率(PER)は28倍。割高感が浮上している可能性があります。
ゴールドマン・サックスは、規制強化に伴い収入の約7割を占めるトレーディング部門の減速が意識されているのは火を見るより明かですね。過去数年間アウトパフォームしていたことも、敗因でしょう。
IBMは、業績が痛手に。1-3月期を含め減収は8期連続に及びます。ハードウェア、ソフトウェア、サービスそろって不振で、群雄割拠するクラウド事業でも頭ひとつ抜けられるかも疑問視されています。
ボーイングは、少なくとも24人のアナリストが投資判断を「買い」で評価。1-3月期は8%増と航空宇宙開発セクターの平均3.2%を上回っていました。PERが18.5倍と高めとはいえ、4銘柄のうち年初来リターンで飛躍する余地を残します。
こうしてみると、3銘柄が上昇に転じるエネルギーに乏しい。では、ダウ平均を1万7000ドルへ導きうるのは銘柄かというと……ズバリ、石油メジャーのエクソン・モービルとシェブロンでしょう。地政学的リスクもあって原油価格が上昇中で、世界景気も回復基調にあり、欧州中央銀行(ECB)をはじめ主要国の中銀が緩和政策続行中という追い風も吹いています。時価総額が2位のエクソン(24日終値102.73ドル)と8位のシェブロン(同131.77ドル)が原動力となれば、1万7000ドル超えへ勢いよく発進できる?
(カバー写真 : US news)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年6月24日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。