最近、20代の人の起業相談を結構たくさん受ける機会がありました。それにより、若者の起業ブームなどについて、色々と考えせられる事がありました。
まず、非常に驚いたのが、多くの人が高額な起業セミナーなどに通っている事です。それも、情報商材系の怪しい会社がやっている所のだったり、全く得たいが知れない感じの会社のセミナーに通っている人が多いのです。
もちろん、それでも良い内容のセミナーなら問題が無いのでしょう。しかし、何を教わったのかを聞くと、ネットでちょっと調べれば分かる事だったり、精神論や心理学の様な事ばかりで、数十万円というのはボッタくりという気がしてしまいました。
一番驚いた例をあげてみます。A君という社会人2年目の若者は、起業セミナーで心理テストの様な物を受けて、自分の起業家タイプは○型だと教わったそうです。そして、○型という自分にあった起業スタイルは何なのかというのを教えてくれる授業を、何十万円も払って受けていたそうです。
そして最終的に、○型はパートナーと一緒に起業した方が良いタイプと言われ、また別の□型の人をパートナーにして起業すれば成功すると言われたそうです。なので、A君はパートナーを求めて、自分の仲間にも、その心理テストを受ける事を勧めているそうです。そして、その次には、その□型のパートナーと一緒に、『チームワークとは何か!?』を教えてくれる授業を受けたいと言っていました。
また、驚いた事に、知人を介して知り合った私の言動からして、□型ではないかと感じ、コンサルを依頼する事にしたのだというのです。
ちょっと、私も面食らいました。ですが、気を取り直して、『何の商売をしたいんですか?』と聞くと、A君は『僕に合う商売が何かを聞きたいと思って相談に来たんですよ!』と笑顔で答え、私にも時間があったら、例の心理テストを受けてると面白いと勧めてくるという感じでした。
もう、私も何と答えたらいいやらと思い、とりあえず、その起業セミナー会社のビジネスモデルを、一緒に考える事にしました。
まず、その起業セミナー会社が売りたいのは授業です。そして、その授業販売の営業の為に、起業タイプの分類テストが存在しています。そして、生徒がテストを周りに勧めたくなる形を作る事で、クチコミ営業を生徒にさせている仕組みで、A君は会社のマーケティングツールとなっているとか、色々と説明しました。
すると、A君はそのセミナー会社は、そんなに悪い会社じゃないと言い出しました。何故なら、生徒が授業を気に入らなかったら、返金してくれるとHPに書いてあると言うのです。そして、そのHPを一緒に見ると、確かに返金とは書いてありました。しかし、この会社、他にやっている教室がナンパ塾だったり、競馬必勝法だったり、知れば知るほど、怪しいという感じでした。そして、その社長も写真で出ていたのですが、いかにも情報商材的な金髪のオッサンが外車と一緒に写真に写っていました。
私も、最大限トライしてみたのですが、その情報商材会社が半年以上もかけて行ったA君への洗脳を、90分では、とても解く事は出来ませんでした。終始、A君は騙されている自覚は全くないようでした。
最近、オレオレ詐欺などは、マスコミでも非常に問題視しています。しかし、こういう若者を餌食にする詐欺まがいの起業セミナーなどは、『若いうちの勉強料で仕方がない』とか、『騙される奴がバカだ』とか、自己責任的な形で放置され気味です。
一方で、メディアや国は若者に、やたら起業を勧めています。もし、そういう政策をすすめるのであったら、同時に、今回紹介したような、若者を餌食にする悪質企業の事も注意喚起すべきなのではないでしょうか。このブログが、何かのキッカケになってくれたら幸いです。
渡辺 龍太
WORLD REVIEW編集長
主にジャーナリスト・ラジオMCなどを行なっている
著書「思わず人に言いたくなる伝染病の話(長崎出版)」
連絡先:ryota7974アットマークgmail.com
Twitter @wr_ryota
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編集部より:この記事は渡辺龍太氏のブログ「ネットメディアプロデューサー 渡辺龍太のブログ」2014年7月2日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はネットメディアプロデューサー 渡辺龍太のブログをご覧ください。