O嬢の物語 --- 城 繁幸

アゴラ編集部

今週のメルマガの序盤の紹介です。
真面目な論評は偉い先生方が散々されているので、今回は小保方さん問題をキャリアデザインというアングルから検証してみたいと思います。なお、現在、連休モードまっただ中の筆者は固い話を書く気がゼロなので、本文は相当くだけた内容です。

概論 小保方さんのキャリアデザイン

筆者が見たところ、小保方さんは以下の3つの点で、常人にはない優れた能力を持っていると考えます。

・コミュニケーション能力


近年、日本企業が求める最重要スキルとしてしばしばコミュニケーション能力が挙げられます。社会で働く以上、同僚や上司はもちろんのこと、顧客や取引先とも密な意思疎通が欠かせません。時には行間を読んだ上で相手の真意を汲んだ提案をすることも必要でしょう。変な話、単純作業がテクノロジーやグローバル化によって消滅し続ける中、置き換えのきかないコミュニケーションの重要性はかえって増しているわけです。

でも、現在はITや携帯電話の普及で、ともすればコミュニケーション自体が苦手な人が少なくありません。特に「オヤジ連中との会話が苦手」というのは、筆者が学生時代から変わらぬ学生の本音でしょう。

その点、オヤジ連中と密なコミュニケーションを築き、コントロールすらできる小保方氏のコミュニケーション能力は相当高度なものだと思われます。営業部門に配属されれば社内はもちろん、取引先からも可愛がられるマスコット的存在になったはずです。

・組織内における政治力

とはいえ、話が上手いだけでは限界があります。組織内での空気を読み、ヨイショすべき人間はヨイショしつつ、お先真っ暗な人間とは距離をおかないと、せっかくのコミュニケーション能力もぶつぶつ独りごと言ってるのと変わりません。

小保方氏のキャリアの変遷を追っていくと、彼女がコミュ力のみではなく、実に高い政治力を持っていたことがよくわかります。指導教官のコネを使ってハーバードへ、そこで新たに培ったコネを活かして博士論文とその後のポストをゲットと、素晴らしい遊泳術を見せてくれています。

・自分を信じる能力

でも、本当に特筆すべき能力は、自分を信じる能力でしょう。どんなに優秀な人材でも、自分を信じることが出来なければ無意味です。たとえば、自分にはプロジェクトリーダーとしてプロジェクトを成功させるポテンシャルがあるんだと信じている凡人と、正直あんまり自信がないと感じているエリートが闘ったら、経験上、筆者は100%前者が勝つと考えます。

氏のコピペやらすり替えやらは、正直レベルの低いねつ造としか思えませんが、自信満々で半年以上世界を騙し続けることが出来たのは、彼女自身、研究成果が真正だと信じていた結果でしょう。自分でやったトリックに誰よりも自分が引っかかり、ホテルの披露宴会場にメディアを集めて記者会見までやってしまうなんて、もはやこのスキルにおける天才と言っていいと思います。

余談ですが、筆者はサッカー日本代表の本田も、ビッグマウスだなんだと叩かれてはいますが、この能力の重要性に気づき、意識的に自分を追い込もうとしているセルフコンディショニングの上級者だとみています。

上記3つの武器のみで、いかにして自らのキャリアをデザインするか。その観点から氏のキャリアを眺めると、一見運任せに見えるそれが、実に無理なく周到に練られたものであることがわかります。

以降、
O嬢の物語

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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2014年7月24日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった城氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。