ローマ・カトリック教会最高指導者ローマ法王フランシスコは8月18日午前、訪韓最後の日程、ソウルの明洞聖堂で約1000人のゲストを迎え記念ミサを挙行した後、4日半の訪韓全日程を終え、ローマへ帰国の途に就いた。バチカン放送独語電子版からフランシスコ法王の最初のアジア訪問時のハイライトをまとめてみた。
ローマ法王は16日、ソウルの光化門広場で韓国教会の殉教者124人の列福式を行った。17日には、「第6回アジア青年大会」に参加し、アジア22か国から集まった約6000人の若者たちを前に「未来は君たちのものだ。イエスの復音を宣べ伝えよ」と激励した。
バチカン関係者は法王の訪韓の意義について、「政治的な性格はなく、宗教的な観点から評価すべきだ」と強調している。フランシスコ法王は16日のアジア司教団との会談では、対話の重要性を強調し、バチカンが外交関係を有していない中国、ベトナム、北朝鮮との関係改善に意欲を示した。フランシスコ法王の訪韓では北朝鮮の教会聖職者も招待されたが、北側当局が参加を拒否した経緯がある。中国側も一部、代表の参加が北京当局によって拒否されている。
フランシスコ法王の訪韓のハイライトは最終日のミサだろう。法王は韓国国民に向かって、「和解」をキーワードとした説教をしている。法王は「和解は先ず、自らその過ちを認めることから始まる」と強調し「猜疑、対立、競争心といったメンタリティを捨て、福音と韓国民族の高貴な伝統からなる文化を生み出すべきだ」と主張している。そして、「和解、統合、平和は神の恵みだ。それらは心の生まれ変わりを求めている」と語っている。法王が強調する「和解」は南北間の統合問題と関連するというより、貧富の格差、世俗化した消費文化が席巻する韓国社会の再生を促したものと受け取られている。
明洞聖堂のミサには韓国政府女性家族省が招待した元慰安婦関係者が最前列に座っていた。バチカン放送独語電子版によると、フランシスコ法王は彼らに近づき、その手を握ったという。それに対し、元慰安婦は蝶形のバッチを法王に渡した。バチカン放送を読む限りでは、法王は元慰安婦に何も話しかけてはいない。ただし、同放送は慰安婦問題について「日本の植民地化時代に売春を強いられた元慰安婦たちは日本側に謝罪を要求している」と説明をつけ加えている。また、フランシスコ法王は17日朝、今年4月に発生した旅客船「セウォル号」沈没事故で息子を失った父親(56)の洗礼願いを受けいれ、ソウルのバチカン大使館内で父親に洗礼を施している。
バチカン放送は「訪韓はフランシスコ法王にとって最初のアジア司牧だったが、来年1月には法王はフィリピンとスリランカを訪問する予定だ」と報じ、訪韓がフランシスコ法王のアジア重視路線の幕開けを告げるものだとその意義を述べている。
編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年8月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。