米8月住宅市場指数は7ヵ月ぶり高水準、低金利と雇用改善で --- 安田 佐和子

アゴラ

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米8月NAHB住宅市場指数は55となり、市場予想および前月の53より強い結果だった。2ヵ月連続で岐点に乗せ、7ヵ月ぶり高水準となる。

内訳をみると、一戸建て現況指数が58とヘッドラインと同じく7ヵ月ぶりの水準へ上昇。一戸建て見通し指数は、前月の63から65と1年ぶりの水準へ上振れしている。見込み客指数も前月の39から42へ上向き、7ヵ月ぶりの水準を示す。

地域別での見込み客指数をみると、4地域中で2地域が増加。前月の3地域を下回る。今回は中西部が65と前月から約13ポイントも急伸し、2004年に統計を開始して以来で最高を遂げた。北東部も上昇。ただし、住宅市場のシェアが大きい南部と西部は前月を下回った。

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のケビン・ケリー会長は、結果に対し「労働市場の改善を背景に、建築業者は潜在顧客が住宅市場に殺到しつつある状況を確認している」と指摘。ただ「信用のひっ迫をはじめ、在庫不足と労働不足などに直面している」とも付け加えた。デビッド・クロウ主席エコノミストは「まだら模様だった春以降、3ヵ月連続でそれぞれの指数は上昇しており明るいサインが現れている」と評価した。また「持続的な労働市場の改善、歴史的な低金利、手頃な住宅価格がペントアップ・ディマンドを押し上げている」とし、楽観的な見方を貫いた。

以上、今回の結果は住宅市場の改善を期待させる内容です。米6月新築住宅販売件数を振り返ると前月比8.1%減の40.6万件と3ヵ月ぶり低水準だったほか、5月分も2008年5月以来の50万件突破を達成していた速報値50.4万件から44.2万件と12.4%も下方修正されていました。新規住宅ローン額が4-6月期に2000年以来の低水準だったことと、整合的です。7月以降は、NAHB住宅市場指数が示すように住宅市場が明るさを取り戻すでしょうか。少なくとも、金利は市場の味方といえます。

(カバー写真 : Je Kemp)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年8月18日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。