さて、7月末に舛添知事が訪韓した際に朴大統領と約束してきたことがまた報道されております。
「韓国だけ便宜は困難」 韓国学校増設、都知事は快諾したけれど…担当者「用地がない」
インターナショナルスクールなど、学校教育法で定められた一般の学校以外の教育機関として、韓国人の方々が通う「韓国学校」があります。
現在、首都圏にある「韓国学校」は、新宿区にある東京韓国学校のみ。定員1440名は満員状態で、敷地も手狭になり、需要過多が続いているとのこと。
しかしながら、新たに韓国が学校を都内に建設しようにも、適した土地がない。そこで、朴大統領みずから用地確保を舛添都知事に依頼し、これに舛添知事が快諾した…というのがその内容です。
(写真は知事の部屋より)
以前の記事でも取り上げさせていただいた通り、この知事と大統領との会談は、東京都が策定したスケジュールにはなかったことなので、
【参考】
朴大統領との会談予定はなかった、「90%以上の東京都民は韓国好き」は誤報…舛添都知事の訪韓とはなんだったのか??
この約束内容について担当局に確認すると、下記のような回答でした。
「詳細は把握していないが、そのような意向を表明したのは確かだと聞いている」
また、都知事が用地確保への協力を快諾したとなれば、その方法は「都有地の優先提供」以外にはありえません。実際に財務局の担当者にも現状を尋ねましたが、
「まだ都知事から具体的な指示はないものの、意向が確かにあるということなので、準備を進めなければならない。ただ、その方法については現在検討中で、一切が未定」
とのことです。
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まず、上記の記事も指摘している通り、東京都内は保育所や特養老人ホームなど福祉施設の土地すら極端に不足しており、このような状況において韓国学校を優先することは極めて疑問です。
そこで改めて、制度を確認してみたいと思います。ここからは仮の話ですが、もし舛添知事が、
「私の意向で、韓国学校のための都有地を優先売却する!これは決定だ!」
と言ったら、それは可能でしょうか? 議会の承認すらなしで、推し進めることはできるのでしょうか?
答えは、イエス。
地方自治法では確かに、韓国学校などの「各種学校」を対象に自治体が土地を売却する場合、原則として競争入札をしなければなりませんが、ここには例外規定があります。
地方自治法施行令167条の2によって、
「不動産の買い入れ等、その性質または目的が競争入札に適しないもの」
については、随意契約(競争ナシの決め打ち)でも許されるという、極めてあいまいで恣意的解釈が可能な条項が存在するのです。
「商業施設ではないので、競争入札にはそぐわない」
「実際に困っている方がたくさんいる非常事態」
「都市外交の一環としての特例事項」
とか理由をつければ、競争入札は回避できてしまうわけです。(そんな強引な理由で、競争入札をしない例はたくさんあります)
でもそこを強引に突破したとしても、議会が承認しなければ、否決すればいいのでは??
ところがどっこい、ここにも抜け道があります。都の資産を売却する際に、議会承認が必要なのは
・建物なら、価格が2億円以上
・土地なら、広さが2万平米以上
の場合に限られます。新聞報道によると、韓国政府が予算を組んでいる学校のための予算は8千万円弱ということですから、
「安価な建物(もしくは狭い土地)を、韓国政府に随意契約で売却します」
ということを舛添知事(行政府)が決定したとすれば、議会は否決することができない=議会承認が必要ないわけですね。
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もちろん、上記はあくまで「仮」の話です。議会との協調路線を取っている舛添知事が、議会軽視の決断をするとは私も思っておりません。
ただ、多くの都民の方が心配されているように、実際に知事が本気になればこんな権限があるということは、知っておいても損はないかと思います。
韓国・ソウル市との友好関係を否定するものではありませんが、やはり都政には「優先順位」があります。現時点で私個人の見解としては、都民のための福祉施設が優先順位で韓国学校に勝ると考えます。
韓国学校を含めた今後の都有地の活用方針について、次の定例会でしっかりと知事の真意を確認して参りたいと思います。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は都議会議員、おときた駿氏のブログ2014年8月20日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださったおときた氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。