広島市の土砂災害は人災か

アゴラ編集部

犠牲者がどんどん増え続ける広島市の土砂災害では、断続的な降雨で救出作業が中断されるなど、なかなか行方不明者の捜索や災害復旧が進みません。広島県警の発表では、8月25日の夜の時点で死者が58人、行方不明者28人、となっています。


一方、8月22日には防災科学技術研究所(防災研)が、今さらにように「大雨降雨実験施設を用いた降雨時の斜面崩壊実験」を行い、広島市で起きた大規模な土砂災害のメカニズムを解明しようとしました。こうした実験により、防災研はセンサーによる斜面崩壊の事前警報システムの構築を目指すようなんだが、後手後手、といった感想は否めません。

報道などでは、伊豆大島や広島の土砂災害について、これまでにないほどの豪雨によって起きた、という表現をよくするんだが、防災研も広島市の降雨を「局所的大雨」だったとしています。これは気象庁の雨・雪についてのQ&A。ここで紹介している長期的な降雨傾向のPDFによると、1時間降水量80mm以上の年間発生回数は確かに漸増しています。1976年から1997年までの20年間の平均が10回前後だったものが、1998年から2007年では18.5回に増えている。ただ「これまでに例のない」という表現は、このPDFを見てもウソだということがわかります。

もちろん、防災研の実験のような試みは、今後の災害を防ぐためのものです。こうした知見が正しく生かされれば、無意味ではないでしょう。また、報道が使う「未曾有の大雨」も大げさな表現ではないのかもしれません。

しかし、毎年のように続く大規模な土砂災害は、果たして天災なのか人災なのか、ちょっと考えてみる必要がありそうです。伊豆大島の土砂災害では、行政から出されなかった避難勧告が批難されています。今回の広島市のケースでも避難勧告の遅れや伝達の不備などが指摘されている。

また、扇状地や急傾斜地などの危険な土地なのに、行政はなぜ宅地開発許可や建築許可を出すのか疑問です。広島市の被災地は、以前から無理な宅地造成が問題にされていたようです。さらに、大規模土砂災害を防ぐ名目で作られ続ける巨大な土木工事には本当に意味があるのか。税金の使い道が問われ、行政への不信がつのれば、市民は自分で自分の身を守らなければならなくなります。

けろっぴぃの日記
「リアル緊急避難訓練」の提案


‘Rubble Bucket Challenge’ launched in Gaza
The Telegraph
世界的に「アイス・バケツ・チャレンジ」が行われているんだが、パレスチナ自治区ガザでは「瓦礫・バケツ・チャレンジ」になるようです。ガザでは、アイス・バケツをかぶろうにも水道水さえままならない。「アイス・バケツ・チャレンジ」のような活動では、単にキャンペーンの対象疾病だけではなく、不当な運命にさいなまれる人々への共感が求められている、という皮肉でしょう。

6.0 Magnitude Earthquake Strikes Northern California
INTERNATIONAL BUSINESS TIMES
8月24日午後7時20分、米国カリフォルニア州北部でマグニチュード6.0の地震が、またその前の24日午前7時32分(いずれも日本時間)には南米チリの首都サンチアゴの北西を震源とするマグニチュード6.6の地震が起きました。さらに、25日午前8時22分には南米ペルー南部でマグニチュード6.9の地震が起き、さかのぼる8月12日には南米エクアドルの首都キトの近くでもマグニチュード5.1の地震が起きている。環太平洋にはグルッと火山帯が分布してるんだが、どうも東側の環が騒がしいようで要注意です。

Dennis Prager video explains Middle East in a nutshell
WND
米国のラジオパーソナリティ、デニス・プラガー(Dennis Prager)の中東問題を解説した動画を紹介する記事です。要するに一方が一方の死を望んでいる状態、らしい。動画の中でパレスチナの過激派ハマスのモットーが紹介されている。「WE LOVE DEATH AS MUCH AS THE JEWS LOVE LIFE.」だそうです。

Why It Felt So Amazing When Beyonce Stood in Front of That Glowing “Feminist” Sign
SLATE
米国のアーティスト、ビヨンセが、MTVミュージックアワードでのプレゼンテーションで、フェミニスト(FEMINIST)という文字の大写しと一緒に出てきた、という記事です。米国でもフェミニズムについて、かなりイメージが変わっているらしい。ビヨンセやテイラー・スイフトのようなスターが、こうして発信し続けていることが影響しているようです。


アゴラ編集部:石田 雅彦