8月26日、世界保健機関(WHO)が「電子タバコ(E-Cigarettes)」に対する報告書を発表しました。禁煙の広がりや喫煙規制などは世界的に広がっているんだが、最近では「健康に無害」を信じているのか、電子タバコを吸う人が増えています。東京・上野のアゴラの近所にも先日、電子タバコを扱うカフェバーのような店舗が出現しました。
同報告書では、電子タバコの広告の制限や公衆の場や屋内での使用を禁止するよう提言しています。電子タバコには、ニコチンや香料などを含ませた水蒸気を発生させ、それを吸い込むタイプが多い。ニコチンの害は明らかで、非喫煙者や若年層に市場が広がれば、新たな社会問題になりかねません。
報道によれば、米国での電子タバコは2008年から2012年の間に倍増した、との内容のものがあり、市場規模も約3000億円規模で広がり続けているようです。一方、米国ニューヨーク市は条例で電子タバコの利用を規制し始め、米国食品医薬品局(FDA)も「禁煙補助」としての電子タバコは禁止し、ニコチン含有の健康影響を鑑み、規制を検討中でもあるらしい。
日本の場合、電子タバコの広告では「禁煙効果」をうたった製品を販売することはできず、行政も様子見をしつつ、規制の範囲を広げようとしている状態です。厚生労働省は、2010(平成22)年に「ニコチンを含有する電子タバコに関する危害防止措置について」という「お願い」を出しています。
また、日本の税法では、電子タバコにも関税がかけられ、免税の範囲は1万6000円まで。輸入量は月一回と限定されているらしい。また、電子タバコのカートリッジの内容物によっては医薬品と見なされ、医療機器扱いになり、販売に許可が必要になるケースもあります。
表題の記事では、精神状態や精神疾患などと電子タバコの関係について書いています。米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究によれば、精神的に不安定な人は、そうでない人と比べ、2倍から3倍、電子タバコを吸っているらしい。これまで一般的には看過されてきたといっていい電子タバコ。WHOが動きだしたことで、社会的に新たな展開が起きてきそうです。
SCIENCE EurekAlert!
E-cigarettes and mental health
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BBC NEWS
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アゴラ編集部:石田 雅彦