いわゆる「オゾンホール」、大気に空いたオゾン層の穴については1970年代の終わり頃から声高に危機が叫ばれ続けてきました。オゾン層などの大気圏は、太陽からの有害な紫外線などを減衰させ、地上の生き物の遺伝子が放射線などでずたずたにされないように防いでくれています。南半球のオーストラリアなどの高緯度地域では、紫外線対策が欠かせなかったりする。
表題の記事によれば、そのオゾンホールが小さくなっているらしい。国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)の発表によるもので、大気中のオゾン破壊物質が減った結果、オゾン層が2050年までに1980年当時のレベルに回復する可能性がある、とのことです。
オゾン層を破壊する原因は、冷蔵庫やクーラー、スプレー缶などで使われてきたフロンガスなど、人類の生産活動によるものが大きい、ということで「オゾン層の保護のためのウィーン条約」に基づき、1987年にカナダで「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書(Montreal Protocol on Substances that Deplete the Ozone Layer)」が国際的に採択されました。この議定書では、フロンガス、ハロゲンの一種のハロン類(halons)、四塩化炭素などの使用全廃が決められ、1999年までの間に先進国から途上国などへ規制が広げられてきたわけです。
この記事によると、フロンガスは強力な温室効果があり、その削減は地球の温暖化にも影響を及ぼすだろう、と書いている。その規模は、京都議定書で定められた年間排出量削減目標の約5倍、だそうです。その一方、フロンガスなどの代替として使用されている「ハイドロフルオロカーボン(HFC)」は温室効果が高く、またモントリオール議定書で規制された四塩化炭素の量は減っていない。この原因として正体不明の放出源が予測されるようで、オゾン層が回復しつつあっても人類に突きつけられた難題は決してなくなりはしない、というわけです。
1989年から国際的にオゾン層を破壊するフロンガスなどの物質規制が始まった。それ以来、オゾン層は回復の兆しをみせている。via UNEP/WMO
POPULAR SCIENCE
The Ozone Layer Is On The Mend
Scottish independence: now Nessie defects
The Telegraph
独立投票で揺れるイングランドとスコットランドなんだが、我々日本人にとってスコットランドといえば、スコッチウィスキーでしょう。イヌ好きならスコッチテリア、ネコ好きなら耳がつぶれたスコティッシュフォールドを思い浮かべるかもしれません。ファッションではタータンチェックで、バグパイプとスカートをはいた男性、というイメージ。超常現象マニアなら、やはりネス湖のネッシーでしょうか。もしスコットランドが独立すれば、英国からネッシーがいなくなる、というわけで、これはイングランド内のカンブリア地方のウィンダミア湖でネッシーならぬ「ウィンディー」を撮影、という記事です。
The Telegraphの記事より。
Researchers discover new producer of crucial vitamin
PHYS.ORG
カナダの研究者らが、細胞の代謝に関係しているビタミンB12を作り出す微生物を発見したようです。この微生物、最近、生物分類に加えられた「タウムアーキオータ(Thaumarchaeota)」という古細菌の一種らしい。我々はビタミンB12を緑黄色野菜やレバーなどに含まれる葉酸から採っているわけなんだが、人工的に作り出すことができるようになるかもしれません。
Google buys firm behind spoon for Parkinson’s patients
BBC NEWS
米国のGoogleが、ヘルスケア部門のベンチャーを買収したようです。「LIFT labs」というこの会社、パーキンソン病のせいでスプーンがうまく使えない患者のために揺れを緩和して食べやすくするスプーンを開発しています。Googleは「Google X」というプロジェクトでGoogleGlassや無人航空機、自動運転カーなどの開発に乗り出しているんだが、こうした介護の分野にも積極的に進出してきそうです。買収額は明らかにされていません。
Lift Labs Launch Video
Where’s My Brain? Woman’s Missing Cerebellum Went Unnoticed for 24 Years
livescience
中国で24歳の女性の脳をMRIスキャンしたところ、小脳がまるごと欠損していた、という記事です。脳の可塑性、というのはよく語られるんだが、小脳、というのは原始的な脳、つまり生命を維持する基本的な機能がつまった部位です。彼女は4歳まで歩行できない、といった障害を今でももっているらしい。生まれた時点で小脳がなかった、というわけで、脳の他の部位が小脳の役割を代替していたんでしょうか。
Oxford journalsより。
アゴラ編集部:石田 雅彦