デンゼル・ワシントンが社会の歪みを正す

アゴラ編集部

米国の俳優、デンゼル・ワシントンといえば、頭の固い正義漢、というようなイメージがあります。エリート官僚や軍人、刑事といった役柄が多い。ワシントンはその役柄からか、スクリーン上であまり満面の笑顔という表情を見た覚えがありません。エリート然とした配役以外でも、マジメで堅物、という性格付けの役が多い。そのため、グッと堪え忍び続けて、最後の最後で恥ずかしそうに微笑む、というようなシーンが印象に残ります。


トニー・スコット監督の映画『クリムゾン・タイド(Crimson Tide)』(1995年)は当方が好きな映画の一つなんだが、ワシントン演じるエリート副艦長がジーン・ハックマン演じる攻撃的な艦長と衝突します。この映画でもワシントンはずっと愛想笑いしか浮かべません。しかし、最後のシーンで艦長と和解する際、負けず嫌いのセリフに思わず微笑んでしまう。ずっと仏頂面ばかり続いていたため、最後の笑顔が特に印象に残る。このあたり、得な俳優です。

そんなワシントンの最新作『イコライザー(EQUALIZER)』が、10月25日(土)から全国で公開されます。監督は『トレーニングデイ(Training Day)』(2001年)でも彼と映画を撮ったアントワーン・フークア。ワシントンは、ホームセンターの従業員が、やがて社会の歪みを正す「イコライザー」つまり「闇の仕置き人」になる、という役。ありがちな勧善懲悪モノとは言え、ワシントンの人物像に深い印影が刻まれ、魅力的に描かれていること、そしてストーリーにメリハリがあって最後まで飽きさせない演出が特徴でしょう。

舞台は、米国東海岸のボストン。ボストンと言えば、ロバート・B・パーカー原作の探偵小説スペンサーシリーズを思い浮かべるんだが、主人公スペンサーの相棒にホークという黒人が出てきます。ワシントン演じる元CIA工作員は、このホークにどこか通じるものがある。この作品でもワシントンは滅多に笑顔を見せません。しかし、ラストシーンで彼が助けた幼い娼婦(クロエ・グレース・モレッツ)に向かって染みるように微笑みかける。

ワシントン演じる主人公が頭を短くバリカンで刈るシーンが冒頭に出てくるんだが、頭髪には白いものが混じっていました。黒人俳優としてはシドニー・ポワチエに続くアカデミー主演男優賞を授賞し、正義感の強い堅物という年齢でもなくなってきている、というわけで、12月には還暦を迎えます。公開された9月最終週の全米ボックスオフィスランキングで首位になった同作品。この興収により、早くもシリーズ化の話も出ているらしい。けっして派手ではない内容ながら、ワシントンの抑えた演技のせいか、しみじみと趣深い佳作、といった映画に仕上がっています。

シネマトゥデイ
デンゼル×クロエ共演のアクション『イコライザー』が初登場1位!【全米ボックスオフィス考】


中ロがロシア国内の高速鉄道建設協力 将来的にはモスクワと北京を結ぶ―台湾メディア
XINHUA.jp
どっちの高速鉄道技術も今はたいしたことないので驚きもしない記事なんだが、両国の接近ぶりを象徴するかのようで少し不気味です。この記事では「新シルクロード」と書いているんだが、ことは鉄道網のみならず、様々な分野で連携が強化されそうです。

Samsung、Wi-Fiの転送速度を一気に5倍高速化する新技術を発表
ソフトアンテナブログ
コレがサムスン電子のリリースです。この技術、けっこう画期的かもしれません。日本のキャリアはスマホのパケット量に上限を定めているわけで、Wi-Fiを使えばパケットを利用していないので使用量に制限はありません。ポケットWi-Fiを使う人が増えるんでしょうか。

Apple Payは、どうやらこのように動くらしい
GIZMODOジャパン
これもまた音楽関連コンテンツなどと同様、日本で実装されるのは先の話になるんでしょうか。スマホなどの携帯端末を使った決済サービスは、日本では交通系などが強いのであまり必要なさそうです。アップルの技術については、ここのところセキュリティに不安が出始めている。様子見が良さそうです。

America’s Middle East Strategy Is in Tatters
AlterNet
米国の中東政策はぼろぼろ、という記事です。トルコもどうも離反しつつあり、イスラム国への攻撃も歩調が合いません。こうした状況は世界経済にも暗い影を落としかねず、米国の株式市場が下落しています。そもそも米国が反アサドでシリア内を混乱に陥れたことが発端のような部分もあり、さかのぼればイラクをゴタゴタさせたのも米国なので最後まで責任をとってほしいものです。


アゴラ編集部:石田 雅彦