韓国人とイタリア人は似ているか --- 長谷川 良

アゴラ

韓国の朴槿恵大統領は10月14日、アジア欧州会議(ASEM)に出席するためイタリアのミラノに到着後、積極的な首脳会談をこなした。韓国聯合ニュースを読んでいると、面白いことに気が付いた。韓国とASEMのホスト国イタリア両国は地理的には離れているが、国民のメンタリティは似ている点がある、ということだ。


産経新聞ソウル駐在特別記者兼論説委員の黒田勝弘氏はその著書の中で韓国人とイタリア人の類似性を指摘されていると聞いた。残念ながら、当方はその著書を読んでいないので詳細な点は分からない。そこで偏見と独断を恐れず、当方が感じる、両国民の類似性について書いてみた。

ミラノから車で1時間ほど行くと、ベルガモに着く。そこに住む友人のカルロ夫妻宅を訪問したことがある。カルロ夫妻は市内を案内してくれたが、数時間のガイド時間で4、5回、レストランや喫茶店に入った。当方がよほど空腹に悩まされていると考えたわけではないだろうが、カルロ夫妻はとにかく食べることに拘る。カルロは当方が洒落た喫茶店を覗いていると「入ってコーヒーでも飲もう」と誘う。昼食を食べて1時間もたっていないのに、「あそこで休憩しよう」といって、レストランを指さす、といった具合だ。カルロの奥さんは海の幸を巧みに利用したパスタを出してくれた。

韓国人は友人や知人に会えば直ぐに「ご飯を食べたか」と聞くという。「ご飯を食べたか」は韓国では「元気か」と同じ意味合いの挨拶言葉だそうだ。日本人は割り勘するが、韓国人は絶対、割り勘には応じない。食事代は自分が払うと言い張る。韓国人もイタリア人に負けないほど食事に執着心が強い。

両国の類似性では、1. 家庭の絆が強い、2. 子供好き、などが良く指摘されるが、イタリアの場合、家庭の絆は依然強いが、欧州でも少子化が最も進んでいる国だ。イタリア北部の町では子供の数より犬の数が多いところもある。その意味で、イタリアは変わりつつある。韓国も同じだろう。少子化は次第に社会問題となりつつある。

イタリアは昔、世界を支配していた大国だった。「世界の道はローマに通じる」といわれた。イタリア経済は現在、厳しい試練を受けているが、欧州連合(EU)の主要経済国だ。一方、韓国は過去、大国の支配を受け続けてきたが、現在はアジアの経済国だ。付け加えると、両国とも南北問題を抱えていることだ。イタリアの場合、豊かな北部と貧しい南部の格差は大きな政治問題だ。韓国の場合、独裁国家・北朝鮮と対峙している。

朴大統領は17日、イタリアのレンツィ首相と首脳会談を行い、両国関係を「創造経済パートナーシップ」として強化することで合意したという(聯合ニュース)。具体的には、文化、ファッション、デザイン、IT、保健などの分野で経済パートナーシップを築いていくという。

ところで、イタリアはファッションの国だ。外見に拘る。一方、韓国人も外見に力を入れる。整形王国といわれるほどだ。未成年者の整形手術が増加し、社会問題となってきた、という記事を読んだ。盧武鉉大統領(任期2003~08年)が二重瞼の手術を受けたと聞いた時、「へェー、韓国では大統領になった人物もその外見に拘るのだな」と驚いたことを思い出す。ちなみに、サムスンや現代自動車は本体の開発以上に、世界的デザイナーを雇って外形で斬新なイメージを創造することに力を入れることで知られている。

まとめると、両国の歴史や背景は異なるが、食べることに拘り、外見を重視する2点で両国民は確かに似ているわけだ。

なお、聯合ニュースによると、今年は韓国とイタリアの国交樹立130周年にあたり、両国は政治、経済、文化などさまざまな分野で記念行事を開催中という。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年10月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。