なぜ日本の組織のトップは無能なのか?

大石 哲之

松島大臣がうちわ問題で辞任した。

しかし、ほんとうにこの手のくだらないスキャンダルで大臣がやめることが多すぎる。うちわなんてせいぜい十数円のものだとはおもうのだが、くだらない。

低レベルな打ち合いばかりだ。

この低レベルな打ち合いが続くとどうなるか。こういうレベルの打ち合いをすると、ほんとうにバタバタと倒れて、誰もいなくなってしまう。

ちょと目立ったことをしたり、標的になると、過去のちょっとしたスキャンダルを掘り起こされて失脚していく。

こうして、残るのは誰かというと、無能だが、まったくスキャンダルとは無縁で、無垢の白木のような人が残る。

バタバタと打ち合いをした結果、実力者が同士討ちして、最後にのこったのは無能でいままでなにもしてこなかったがゆえに何も経歴に傷がないひとだけがのこるというわけだ。

東條英機が首相に選ばれたのも、このパターンだといわれている。

日本の組織のトップがおしなべて無能なのもこれで説明できる。トップになる50代の半ばくらいまでに、おおきなミスをせず守りをかためてきたひとがトップになる。有能かどうかは関係ない。ミスをして脱落したひとのなかで、ミスをせず生き残ればいいので、有能か無能かはかんけいなく、ミスをしたかしなかったかが問われる。

そういうトップなので、当然トップになっても大きなミスをするようなことはしない。経歴に木津がつかないように、前例を踏襲し、無難に任期を終えて引退する。そしてその後釜も、そういう無難に残った人が着く。これが無限ループで繰り返される

それから、政治資金規正法は、道路交通法と一緒といわれている。あまりに広範囲に細かく決められていて、ミスなく守るのはほぼ不可能だが、普段は、多少は目をつぶって運用されている

こういうお目こぼしの運用は、いざという時打ち合いになりやすい。ほぼすべての政治家家が厳密にこれを適用されたら何かしらのミスがでるといわれているなか、お互いに目をつぶって運用している。これは、いざというときには、いくらでも政治資金規正法で相手のスキャンダルを掘り起こすことが可能ということだ。

いつでも、だれでも、好きなときに、大臣でさえも、簡単に撃ち落とせる仕組みをつくっておくことで、権力ゲームがやりやすくなる。野党にとっても、与党の他の派閥にとっても、官僚にとっても、都合のいい時に政敵を撃ち落とせる政治資金規正法は願ってもないツールだ。だから、こんなに非現実的でも改正されないといわている。

小澤氏のときも、そうだし、最近のたいがいのスキャンダルは政治資金規正法がらみだ。

もちろん政治家にとって守れないくだらないルールなら、それを変える権限があるのは国会議員そのものであるはずなのだが。

日本の組織のトップはなぜ無能か、という話だったが、もちろん他にも多様な原因があるだろうが、こういう一面もあるということである。