日銀のサプライズ追加緩和で、ダウ平均とS&P500は最高値更新 --- 安田 佐和子

アゴラ

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ハロウィーンに、日銀の黒田総裁がやってくれました。奇想天外な黒魔術を駆使するがごとく予想外の追加緩和策を打ち出したおかげで、日経平均はもちろん世界の株式市場が魔法にかかったかのような急伸を遂げています。ダウ平均とS&P500は好決算という支援材料もあって、ザラ場・終値そろって過去最高値を更新しました。

マーケットウォッチのトップ画面も、高笑いする黒田総裁の写真を掲載。
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(出所:Marketwatch)


為替も、大いに反応しています。ドル円は、日銀の追加緩和を背景に一時112.48円まで上昇。2007年12月以来のドル高・円安を示現している。一方でドル高が鮮明となり、ユーロドルも一時1.2485ドルと2012年8月以来の安値を更新した。ドル実効相場は上昇、約4年ぶり高値を遂げた。反対にドル高を嫌気し、原油相場は80.54ドル(0.58安)、金相場は1171.60ドル(27.00ドル安)で引け。金相場は一時、2010年以来の安値を示現する場面もみられました。

株式相場に話を戻して。日銀の追加緩和を受けた世界の株式相場の動向を振り返ってみましょう。米株は10月半ばに調整入りした分をきれいに取り戻しただけではなく、そろって高値を抜けてきています。

・ダウ平均 17390.52ドル(195.10ドル高、1.13%上昇)→過去最高値
・S&P500 2018.05(23.40p高、1.17%上昇)→過去最高値
・ナスダック 4630.74(64.60p高、1.41%上昇)→2000年3月以来の高値
・ラッセル2000 1173.51(17.74p高、1.53%上昇)→9月2日以来の高値
・ダウ輸送株20種 8755.51(124.38p高、1.44%上昇)→最高値を示した28日以来、3日ぶり高値
・VIX指数 14.03(0.49p低下、3.37%低下)

・独DAX 9236.87(212.03p高、2.33%上昇)→10月1日以来の高値
・仏CAC 4233.09(91.85p高、2.22%上昇)→10月6日以来の高値
・英FTSE 6546.47(82.92p高、1.28%上昇)→10月6日以来の高値

・日経平均 16414.76円(755.56円高、4.83%上昇)→2007年11月以来の高値
・上海総合 2420.18(29.10p高、1.22%上昇)→1年8ヵ月ぶり高値
・香港ハンセン 23998.06(296.02p高、1.25%上昇)→9月19日以来の高値

以上、軒並み1%を超える上昇で取引を終えました。

今後の日本株に対し、アメリカ人投資家はどうみているのでしょうか?

日銀の追加緩和だけでなく、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が資産127兆円の運用指針を見直しを正式表明するという合わせ技を駆使したため、一気に熱い視線が注がれつつあります。国内債券の投資比率を大幅に引き下げ代わりに株式を引き上げると発表したのであれば、アメリカ人投資家が日本株を指をくわえて見ているはずはありません。

CNBCに出演したポートフォリオ・マネージャーは「日本株の比率を全体の7%へ引き上げる方針」と言及していました。上場投資信託(ETF)を通じた日本株投資を目指し、特に「ウィズダムツリー・ヘッジ付き日本小型株ファンド(WisdomTree Japan Hedged Small Cap Fund、DXJS)」に着目。この為替ヘッジ付きのETFは、31日に7.2%も急伸して取引を終えていました。同じく、為替ヘッジ付きの「ウィズダムツリー・ヘッジ付き日本株ファンド(WisdomTree Japan Hedged Equity Fund、DXJ)」も6.6%と好調だったのは、こうした市場関係者の見方を反映しているのでしょう。消費税増税を見据えた動きと承知し景気減速懸念を意識するものの、「お上には逆らうな」というスタンスです。

ちなみにノーヘッジの「iシェアーズ MSCI ジャパンETF(iShares MSCI Japan ETF、 EWJ)」は5.0%高、「iシェアーズ MSCI ジャパン小型株ETF (iShares MSCI Japan Small-Cap ETF、 SCJ) 」は4.1%高でした。ドル高がどこまで加速するか不透明ななかで、為替ヘッジ付きETFを選好していることがよく分かります。

(カバー写真:AP)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年10月31日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。