米11月消費者信頼感指数は94.5となり、市場予想の96.0を下回った。2007年10月以来の高水準を達成した前月の94.1(94.5から上方修正)から、減速。5ヵ月ぶり低水準となる。見通し指数が87.0と2007年12月以来の高水準を遂げた前月の93.8を大きく下回ったほか、現況指数も前月の94.4から91.3へ鈍化していた。なお3ヵ月平均の消費者信頼感指数は、89.1。景気回復期の最高となる90.4を射程距離に収めている。
今回の調査期間中、米株は10月半ばの下落トレンドから脱し過去最高値を更新する流れに入った。ガソリン価格も3ドル台を割り込み、4年ぶり低水準を示現。エボラ出血熱をめぐる懸念が後退したものの、米雇用統計でみられるように賃金の伸び悩みを反映したためか見通しが伸びを抑えた。
ガソリン価格の下落こそ、消費の起爆剤と期待されているのに・・。
(出所:Fuelfix)
発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ・経済指標ディレクターは、結果を受け「短期的な楽観度が低下したほか、ビジネス環境や労働市場もポジティブな姿勢が後退している」との見方を寄せている。
以下は、結果の詳細。今回は現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIがマイナス13.2となった。10月のマイナス12.6から拡大しており、2008年5月以来の水準まで縮小した8月のマイナス12.4から遠のいている。見通し指数は、ビジネス環境をはじめ労働市場、所得そろって楽観度が後退した。以下は、結果の詳細。
現況指数をみると、ビジネス環境は「良い」が低下し「悪い」が上昇
「良い」24.0%→前月の24.7%から低下、前年同月は20.4%
「悪い」22.4%→前月の21.3%から低下、前年同月は24.6%
労働市場については、「豊富」が低下し「困難」が上昇
「職が豊富」16.0%→前月の16.5%から低下、前年同月は12.0%
「職探しが困難」29.2%→前月の29.0%から上昇、前年同月は34.1%
6ヵ月先のビジネス環境への見方は、「良くなる」が低下し「悪化する」が上昇
「良くなる」17.6%→前月の19.4%から低下、前年同月は16.7%
「悪化する」10.7%→前月の8.9%から上昇、前年同月は16.1%
6ヵ月先の労働市場への見方は、「増加」が低下し「減少」が上昇
「雇用が増加する」15.0%→前月の16.0%から低下、前年同月は13.1%
「雇用が減少する」16.4%→前月の14.1%から上昇、前年同月は21.4%
6ヵ月先の所得への見方は、「増加」が上昇し「減少」が低下
「増加する」16.3%→前月の16.7%から低下、前年同月は15.3%
「減少する」11.4%→前月の11.3%から上昇、前年同月は15.5%
購入見通しは、ヘッドラインとは逆に上昇が優勢。住宅が5.8%と、前月の5.7%を上回り足元で最高だった。主要機器にいたっては52.2%と、前月の49.1%を超え2010年以来で最高を遂げている。自動車も11.0%と、小幅ながら前月の10.8%を上回った。
──以上、米消費者信頼感指数はこれといって悪材料が飛び出していなかったにも関わらず鈍化しました。米7-9月期改定値は個人消費が上方修正のけん引役だっただけに、今回の結果がセンチメントの変化を示唆するのか注目されます。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年11月25日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。