スイスの国民投票では何が否決されたのか

アゴラ編集部

スイスでは、法律で定められた10万人の著名が集まればどんな問題でも国民全体で決めることのできるという「国民投票」のシステムがあります。11月30日には、二つの重要な提案が国民投票で判断されました。


一つは、同国の中央銀行であるスイス国立銀行の金準備拡大と売却禁止を義務づける、というもの。そして、移民の受け入れを年間、人口の0.2%に抑える、というものです。結論から言えば、この二つとも否決されました。金の準備については「SNBCHF」によると反対が78%、移民の抑制については74%が反対でした。

国民投票はあらゆる階層による多数決になるんだが、金準備の拡大では、それを望む貧困層を含む社会的弱者層と金の裏付けによる強過ぎるスイスフランが迷惑な富裕層の綱引きという側面があったらしい。今回の結果は、量的な金融緩和による株価上昇で稼ぎたい富裕層が勝った、というわけ。これが可決されるとユーロに新たな不安定要素が加わる、と言われていたんだがひとまず波乱はなくなりそうです。

一方、ナショナリストの団体が提案した移民制限では、逆に保守的な勢力が負けた、ということになりそうです。移民が入ってくることによる競争で賃金上昇が抑えられ、物価上昇も抑制されます。スイス国民は、インフレを望まない、ということであり、日本とは違う様相が垣間見えて興味深い。いずれにせよ、二つのテーマに関して行われたスイスの国民投票は、かなりバランス感覚に富んだ結果になったようです。

the guardian
Switzerland rejects immigration cap


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The Telegraph
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アゴラ編集部:石田 雅彦