選択肢が少なくなるのは、不幸ではなく幸せ --- 内藤 忍

アゴラ

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丸の内朝大学マネークラス2013秋学期のフィールドワークが無事に終了しました。40名を超えるメンバーと2日間、東北の企業を訪問し、お金の使い方について学ぶことができました。

現地の経営者の方のお話には毎回心を打たれます。講師として参加しているにも関わらず、受講生と同じような立場で、フィールドワークを楽しみ、そして多くの気づきをもらうことができます。本当にありがたいことです。


震災によって訪問先の企業はすべて被害を受け、経営面でも倒産の危機に瀕するくらいのダメージを受けています。しかし、そのどん底の修羅場からいち早くアクションを取り、勇気と信念を持って行動し、会社を立て直してきました。その中で心の残ったのは

「選択肢が少なくなることは、不幸ではなく幸せである」

という言葉でした。

震災によって、生産設備が壊滅的被害を受け、今まで作っていたたくさんの商品が作れないようになってしまった。そんな時にどの商品を作るか選択しなければならない。限られた設備になって初めて、自分がやるべきことが何かということが明確に見えてきたというのです。

たくさんの選択肢がある時は、フォーカスが定まらず、自分のやるべき仕事がはっきり見えず、いつも満足できない状態が続いていたのに、選択肢が少なくなったことによって、迷いが消え、自分の心が安定したそうです。

選択肢が豊富にあることこそ、精神的に豊かであると信じていた私にとっては意外な話でしたが、振り返ってみれば選択肢がたくさんあれば幸せで豊かなのかと言われれば、そうとも限りません。

あれこれと手を出して、結局はどれにも満足できず、文句ばかり言ってしまう。選択肢の無い環境で自分のやるべきことが見えることに感謝しながら、その1つの道を極限まで極めることで、やりがいや充実感を感じることができる。

物事の事実は1つですが、見方はその人次第で変わってくるということです。身の周りに起こる様々な現実は誰にとっても同じものであっても、感じ方はその人それぞれで異なります。であれば、自分の見方は、ネガティブに考えるのではなくできるだけポジティブに考えていった方が良いと思うのです。

ランチに食べたいくら丼(写真)も東京では食べられない価値ある一杯でしたが、それ以上に極限を経験した方たちのお話には、人生の本質が詰まった貴重な内容であることを今回も実感する2日間でした。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年12月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。