米11月新車販売台数は、10月に続きビッグ3のうち新型車生産の影響で在庫不足のフォードのみ減少した程度で好調を保った。ガソリン価格の下落という追い風を受け、トラックやスポーツ多目的車(SUV)がけん引している。また感謝祭やブラック・フライデーを迎え、GMが一部の「シエラ」を対象に9655ドルのキャッシュバックを展開したほか、フォードも「ドリーム・ビッグ/ビッグ・フライデー」と題したアマゾン・ギフトカード1000ドル相当のプレゼント作戦に打って出ていた。クライスラーも「ブラック・フライデー・セールス・イベント」で大々的な値引きに踏み切り、アクセル全開の販促プロモーションで消費者の購買意欲に火を点けたといえよう。
オートデータが発表した米11月新車販売台数は、前年同月比4.6%増の130万台と市場予想の127万台も上回った。年率では1710万台と、市場予想の1670台および11月の1646万台から加速。単月ベースでは2003年以来で最高を達成し、8月の1750万台に近づいている。なお米自動車情報サービス会社エドマンズ・ドットコムは、2014年販売台数につき「1640万台」を予想。2006年の1650万台を超えていくか、注目だ。
以下、ビッグ3をはじめメーカー別動向。
GMは前年同月比6.5%増の22万5818台となり、単月では2007年以来の高水準に達した。ブランド別ではGMCが22.7%増の4万3854台と、単月ベースで2001年以来で最高を遂げている。ガソリン安を背景にSUVの「GMC」が23%増と大幅増だったほか、トラックの「シエラ」も57%増と加速した。ビュイックは27.0%増の1万1943台と、単月ベースで2003年以来の高水準。シボレーは3.2%増の14万9673台で、小型車「クルーズ」が26%増、トラック「シルバラード」も24%増と好調を示す。キャデラックのみ18.7%減の1万3148台だった。GMは2014年見通しにつき従来予想の1600万~1650万台のレンジ上限で維持し、2007年以来の高水準となる見込みだ。
フォードは、1.8%減の18万7000台だった。新型「マスタング」と「F-150」の在庫不足を背景に、売上の減少は織り込み済みである。ブランド別ではフォードが2.6%減の17万8887台となり、「マスタング」は62.4%増の8728台と2006年以来で最高を記録。大型SUV「エスケープ」も、2004年以来の高水準を達成した。ただしトラック「Fシリーズ」が9.9%減だったほか、小型車「フュージョン」も減少し単月ベースでの最高記録を6ヵ月連続で止めた。リンカーンは20.6%増の8113台と、前月に続き2007年以来の最高に。SUVの「ナビゲーター」が88.1%増と急増した半面、セダン「MKZ」が26.6%減と足を引っ張った。
フィアット・クライスラー・オートモビルは、20.1%増の17万839台だった。前年比プラスは56ヵ月連続を迎え、単月ベースでは2001年以来で最高を達成している。ブランド別では、前月まで弱含みだったクライスラーとドッジを含め5ブランド全て前年比プラスに。ラムが31%増だったほかクライスラーも30%増、ジープも27%増とそれぞれ2桁増で寄与している。
日本車をみると、タカタ製エアバッグの問題でリコールが相次ぎながら日産以外が前年比で増加した。トヨタが前年同月比3%増の18万3346台となった。ブランド別ではトヨタが2.3%増の15万5874台、レクサスも7.3%増の2万7472台と支えた。
ホンダは、8.7%増の12万1814台だった。ブランド別ではホンダが5.5%増の10万6957台と、単月で過去最高を達成。アキュラは2.0%増の1万4857台と2ヵ月連続で増加している。日産は、3.1%減の10万3188台と単月での過去最高更新トレンドにブレーキを掛けた。ブランド別では日産が1.7%減の9万1790台、インフィニティは13.3%減の1万1398台だった。
11月版:自動車メーカー別のシェア
(出所:Good Car Bad Car)
高級車部門別では、ダイムラーの「メルセデス・ベンツ」が0.6%増の3万4578台と前月の2位からトップを奪取した。単月ベースでは過去最高に。1-4月、7-9月に続き年初来で8回目の首位となる。ただし年初来では6.0%増の29万6832台と、BMWに首位の座を明け渡したままだ。
2位はBMWグループのうちMINIを除く「BMW」ブランドで前年同月比2.3%減の3万1019台。年初来でも9.7%増の29万8212台と、宿敵であるダイムラーの「メルセデス・ベンツ」を上回り2ヵ月連続でトップを堅持している。
3位はレクサスで7.3%増の2万7472台、4位はGM傘下のビュイックで27.0%増の1万9143台だった。5位のフォルクスワーゲン(VW)傘下の「アウディ」は22.0%増の1万6650台と、単月ベースで47ヵ月連続で過去最高を更新。年初来では15.4%増の16万62773台と、こちらも過去最高を塗り替えた。
その他の海外メーカーではアウディを除くVWは3.2%増の3万1725台と、2ヵ月連続で増加した。小型車「ゴルフ」が過去最高の85%増の2149台とけん引したほか、セダン「ジェッタ」も31.8%増の1万4628台と寄与している。ヒュンダイは、ウォン高の影響から4.2%減の5万3672台だった。
▽11月新車販売台数、ブランド別ランキング
1位 カムリ(トヨタ) 5.1%減の2万8846台、トップを維持
2位 カローラ(トヨタ) 14.2%増の2万5609台、前月の3位から上昇
3位 アコード(ホンダ) 6.7%減の2万5275台、前月の2位から転落
4位 シビック(ホンダ)12.3%減の2万3060台、前月の5位から上昇
5位 クルーズ(シボレー、GM) 25.6%増の2万2857台、前月の4位から転落
6位 アルティマ(日産) 7.2%減の2万2834台、前月と変わらず
7位 フュージョン(フォード) 11.3%減の2万263台、前月と変わらず
8位 ソナタ(ヒュンダイ) 11.6%増の1万8515台、前月と変わらず
9位 ジェッタ(VW) 25.9%増の1万5633台、前月と変わらず
10位 フォーカス(フォード) 2.5%減の1万4862台、前月と変わらず
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年12月2日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。