当方は2011年8月、このコラム欄で中国で1億人の国民が中国共産党、中京青年団(共青団)と中国少年先鋒隊(少先隊)の3つの組織から離脱する国民の総数(3退)が1億人を突破したという情報を報告したが、来年中にはその3退の総数が2億人に到達するという。発信元は中国反体制派メディア「大紀元時報」の11月28日の記事だ。
この数字は離脱者数データを管理する全世界脱党支援センターによるもの。大紀元時報によると、「2014年11月17日まで、同センターの統計では、3退の総人数は1億8390万人に達し、2億人の大台に迫っている。現在、毎日の3退平均人数はおよそ11万人。その勢いが続けば、145日後の2015年4月12日ごろに2億人を超える見込みである。中国の国内総人口は約13.6億人。3退総人数が2億人を突破すれば、凄まじい心理的反応が起きるに違いない。この情報は中国国内各地で迅速に広がり、中共の得意技である情報封鎖は徐々に効かなくなり、全社会が関心を持つ重要な話題になる」という。そして「中国の激変は避けられなくなり、中共の統治を終焉させる社会的大変革が近い将来に起きる」と予想する。中国共産党指導部が聞けば、激怒するほど過激なシナリオだ。
中国共産党からの脱党者数は11年8月段階で3000万人。全党員8000万人の4割弱に及んだ。脱党者の中には、中央政府官僚、各地方政府幹部も含まれており、脱党の動きは中国の各社会階層に広がっている。この傾向は年々、顕著になってきている。だから、大紀元は「3退現象は中共政権の崩壊がもはや不可避であることを端的に物語っている」と結論を下しているわけだ。
大紀元はまた、旧ソ連・東欧諸国の民主化を例に挙げ、中国共産党一党独裁政治は必ず終止符が打たれると予測する。例えば、ポーランドでは独立自主管理労組「連帯」、チェコスロバキアの反体制派グループ「憲章77」といった民主化運動が生まれ、国民を動員させて共産党政権を打倒していった。それに対し、中国でははっきりとした野党勢力・グループは存在しないが、中国共産党内で崩壊現象が起きているというわけだ。それが党員の「3退」現象だ(「中国人富豪の“移民ブーム”」2014年2月12日参考)。
国の歴史、規模、人口などが異なるから、旧東欧諸国と中国を簡単には比較できないが、一党独裁政治が永遠に続いた例は歴史上ないことだけは確かだ。中国共産党も例外ではない。共産党創建90年(2011年7月)を迎えたが、2021年7月に党創建100年目を果たして祝賀ができるか。周近平国家主席がここにきて反体制派勢力に対し強い締め付けを行うのは共産党の内部崩壊を肌で感じ始めているからではないか。
中国が南シナ海や尖閣諸島に進出して近隣諸国と衝突するのは内部の動揺から目をそらさせるための共産党の常套手段だ。その際、もはや共産党イデオロギーではなく、「中国の夢」というロマンチックなタイトルを掲げた民族・愛国主義が叫ばれるわけだ。
編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年12月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。