最高裁裁判官の国民審査がより重要と思う2つの理由 --- 内藤 忍

アゴラ

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本日は衆議院議員選挙投票日です。と同時に、最高裁判所裁判官国民審査があります。個人的には、この国民審査の方が重要ではないかと思っています。

画像は、TMI総合法律事務所パートナーの升永英俊 (ますなが・ひでとし)さんや、日比谷パーク法律事務所代表弁護士の久保利英明さんが進めているこちらのページからコピーしたものです。


今回の国民審査の対象になるのは、5名の裁判官です。国民審査を何を根拠に行うかは、素人には理解しにくいものですが、最重要課題として「一人一票」に賛成なのか、反対なのか、11月26日の最高裁判決を元に判断することができると書かれています。

5名のうち、鬼丸かおる裁判官、山本庸幸裁判官の2名は、「憲法は、人口比例選挙(=一人一票)を保障している」と一人一票に賛成の立場を取っていると言います。

一方、木内道祥裁判官、池上政幸裁判官、山﨑敏充裁判官の3名は、「憲法は、人口比例選挙を保障している」と言っていないそうです。この3裁判官は、一人一票に反対と考えることができます(木内裁判官は、反対意見で、違憲と述べているようですが、鬼丸裁判官や山本裁判官のように「『人口比例選挙の保障』あるいは『一人一票の保障』が憲法の要請である」という原則を明言していないそうです)。

最高裁判決(多数意見)が、「一人一票の原則」を判決文で明言しない限り、国会は、国会の裁量権として、「非」人口比例による選挙区割りを続けることが可能になってしまう。それを変えるためには、木内氏、池上氏、山﨑氏の3名に×印の投票をすることです。もし、投票数の過半数(2700万票・予測)に達すれば、罷免できます。

この国民審査が、衆議院議員選挙よりも重要だと思う理由は2つあります。

1つは「一人一票」が実現しない中での選挙の結果は、憲法に基づく民意が反映されたものとは言えず、真の民主主義と言えないからです。地域によって格差が2倍以上あるということは、クラスの学級委員の選挙で一票の生徒と二票の生徒がいるようなものです。住んでいる場所だけで、格差が生まれる状況を是正しない不完全な選挙は早急に変えていかなければなりません。政策の問題よりも、もっと根本的なシステムの問題です。

もう1つは今回の国民審査の結果は公表され、各裁判官の評価が数値として比較されるからです。今まで罷免された裁判官はいないようですが、数値が大きくなれば、その裁判官の今までの判断に国民の注目が集まることになります。もし、上記3名の×の比率が高くなっていけば「一人一票」に反対していることがクローズアップされていくことになるのです。衆議院議員選挙は当落が決まってしまえば、終わりです。しかし、国民審査は自分の意思表示が数字として反映され、罷免されないとしても、今後も影響力を持つのです。

国民審査の判断材料は、「一人一票」以外にもあります。ネットで検索すれば、膨大なサイトを発見することができます。どのテーマでどのように判断するのかは、それぞれの自由です。上記の判断は、飽くまで「一人一票実現国民会議」の意見です。私は、この意見に賛成しています。

日本国憲法第79条第2項には、「最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後10年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。」と書いてあります。本日与えられている、この貴重な機会をやり過ごしてしまうのは勿体ないこと。

投票所に行って、衆議院銀選挙だけではなく、国民審査もしっかり意思表示してきます。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年12月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。