アイスバケツ2.0を日本発で拡散しませんか?

本山 勝寛

今年の夏、世界中の有名人が氷水をかぶり、難病であるALS(筋萎縮性側索硬化症)への理解や寄付を呼びかけるアイスバケツ・チャレンジが流行りました。あれを見ながら、普段NPOや社会課題の啓発に取り組んでいる身として、これはすごい拡散力のあるキャンペーンだと思いました。NPO業界の人間がどんなにがんばって声を挙げても社会には届かないメッセージが、多くの人々に届くわけです。と同時に、これが一過性の流行りに終わらずに、他の病気や社会課題を考えるキャンペーンにもつながればよいのにとも思いました。


結局、夏の終わりとともにアイスバケツ現象は収束しました。指名制で拡散させる方法がチェーンメールに類似しているとか、氷水をかぶるのが危険だとか、批判の声もあったようです。とはいえ、やはり一過性の流行に終わってはもったいない、一つの病気で終わってはもったいないと思います。

そこで、手法はまったく異なりますが、アイスバケツからヒントを得て、新たなキャンペーンを始めました。ハンセン病について考える「THINK NOW ハンセン病」です。

ハンセン病は旧約聖書の時代から、人類の歴史とともにある病気で、長い間、この病気にかかった人々は深刻な差別と偏見にさらされてきました。20世紀後半、治療薬が開発され、治る病気になりましたが、いまもなお深刻な差別が根強く残っています。家族や故郷のもとを離れることを余儀なくされたり、結婚や就職ができなかったり、ホテルや公共施設の利用を断られたりといったことが起きています。

世界では毎年20万人以上の方が新たにハンセン病に罹患していますし、治療が終わって治ったあとも、後遺症の障害に苦しんだり、社会からの差別に苦しむ人々が何百万人といます。日本には新規の患者さんはいませんが、ハンセン病療養所で生活をせざるを得ない回復者の方々が2千人近くいらっしゃいます。そのなかには故郷に帰れない、実名を名乗れないという方も少なくありません。この差別や偏見は、専門家による医療の問題ではなく、社会全体の問題です。そこで、ハンセン病について正しく知り、差別をなくし、考える機会をつくろうと上記キャンペーンを始めました。

方法は簡単です。「ハンセン病について考えよう。THINK NOW ハンセン病」といってスマホなどで撮影した動画をYouTubeにアップして、ブログやフェイスブックなどで拡散して下さい。[email protected] のメールアドレスまで動画URLをお送りいただければ、日本財団の運営する特設サイトに掲載します。

既に、マツコ・デラックスさんや田原総一郎さん、磯山さやかさんなど多くの方が参加し、メッセージ動画を寄せていただいています。海外からも参加いただいており、私もインドでダライ・ラマ法王のメッセージを撮影してきました。アイスバケツはアメリカ発でしたが、これは日本発のグローバルなキャンペーンにしたいと思っています。

皆さんもぜひ、動画の投稿とシェアをお願いいたします。ハンセン病を知ること、考える機会をつくることが差別の解消につながります。ブロゴスに参加しているブロガー、政治家、著名人の皆様もぜひよろしくお願いいたします。もちろん、この運動がまた他の病気や社会課題、差別の問題を考えるきっかけになればとも思います。

THINK NOW ハンセン病。ハンセン病について考えよう。

関連記事
ハンセン病二人の闘士の死の意味
もののけ姫とハンセン病と生きるということ
ダライ・ラマ師と奨学金を創りました

学びのエバンジェリスト
本山勝寛
http://d.hatena.ne.jp/theternal/
「学びの革命」をテーマに著作多数。国内外で社会変革を手掛けるアジア最大級のNGO日本財団で国際協力に従事、世界中を駆け回っている。ハーバード大学院国際教育政策専攻修士過程修了、東京大学工学部システム創成学科卒。1男2女のイクメン父として、独自の子育て論も展開。アゴラ/BLOGOSブロガー(月間20万PV)。著書『16倍速勉強法』『16倍速仕事術』(光文社)、『マンガ勉強法』(ソフトバンク)、『YouTube英語勉強法』(サンマーク出版)、『お金がなくても東大合格、英語がダメでもハーバード留学、僕の独学戦記』(ダイヤモンド社)など。