慰安婦疑惑を国会で解明せよ

池田 信夫

朝日新聞の渡辺社長はきのう記者会見し、「信頼回復と再生のための行動計画」なるものを発表した。予想どおり無内容で、論評にも値しない。これで幕が引けると思ったら大きな間違いだ。


最大の問題は「慰安婦の強制連行」という誤報を事実上認めたのに、それを撤回も謝罪もしていないことだ。当事者の植村隆は、いまだに逃げ回って記者会見にも出てこない。嘘をついているからだ。「だまされた」という話が、なぜ「連行」になったのか。義母を通じて韓国側からの働きかけはなかったのか。

これを検証した第三者委員会にも問題がある。「朝日新聞の国際的な責任は重くない」と主張した林香里委員は、「吉見義明教授の裁判闘争を支持し、「慰安婦」問題の根本的解決を求める研究者の声明」の賛同者であり、第三者とはいえない。彼女を除外して、第三者委員会をあらためて開くべきだ。

また吉田清治に関する1982年の記事についても、朝日の論説委員だった長岡昇氏がこう指摘している。

今年8月の慰安婦特集で、この記事を執筆したのは「大阪社会部の記者(66)」とされ、それが清田治史(はるひと)記者とみられることを、このブログの9月6日付の文章で明らかにしました。清田氏もその後、週刊誌の取材に対して事実上それを認める発言をしています。

ところが、朝日新聞は9月29日の朝刊で「大阪社会部の記者(66)は当時、日本国内にいなかったことが判明しました」と報じ、問題の吉田講演を書いたのは別の大阪社会部の記者で「自分が書いた記事かも知れない、と名乗り出ています」と伝えました。しかも、今回の第三者委員会の報告書ではそれも撤回し、「執筆者は判明せず」と記しています。

彼もいうように「第2社会面のトップになるような記事を書いて記憶していないなどということは考えられません」。誰かが嘘をついているが、清田氏も記者会見に出てこない。彼は元役員だったのだから、責任は重大である。河野談話のあとも、執拗に国家賠償を求めたのはなぜか。北朝鮮からの工作はなかったのか。

私は公権力が言論機関に介入することには反対だが、朝日新聞が自分で疑惑を解明できないなら、国会に彼らを喚問するしかない。特別委員会をつくって集中審議し、この問題を創作した福島みずほと高木健一も喚問し、真相を追及してほしい。