米企業のレイオフ件数は17年ぶり低水準、米新規失業保険も減少 --- 安田 佐和子

アゴラ

米12月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比6.6%増の3万2640人だった。過去6ヵ月間で、3回目の増加となる。とはいえ前月の3万5940人からは、9.2%減少。2ヵ月連続で減少した。2014年通年では、3番目に低い水準となった。2014年の人員削減予定件数は、前年同期比5.0%減の48万3171人。当初の期待通り、1997年以来で最低を記録している。

2014年間では97年以来の好結果で、Fedもご満悦?
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(出所:Challenger, Gray, & Christmas)


発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、12月の結果を受け「レイオフ件数は2008年のリセッション前の水準へ回復しただけでなく、2001年のITバブル崩壊前の水準まで切り返した」と評価。求職者にとって「2015年は職探しに良い機会となり、新しく就いた仕事の確保にも安心感が高まる」と楽観的な見方を寄せた。年末にかけ人員削減件数が増加する予想を示した10月から、大幅に方向転換している。

人員削減予定件数のセクター別をみると、1位は食品で4920人だった。2位には自動車が続き3189人、3位は11月に2位だったヘルスケアが入り2897人となる。ホリデー商戦の終幕で雇用減が見込まれた小売は2195人にとどまり、11月の2640人から減少した。

採用件数は7332人と、11月の1万1291人から減少した。ホリデー商戦の臨時雇用が一巡したためで、1位は自動車で1480人だとなる。2位は11月に3位だった産業財が浮上し1227人、3位は航空で1015人だった。なお小売は9—10月の2ヵ月連続で1位、11月も1200人で4位だったものの、今回は0人に終わった。

米新規失業保険申請件数は、1月3日週で29.4万人と市場予想の29万人を上回った。ただし前月の29.8万人から減少しており、ホリデー商戦雇用の反動減が小幅にとどまった可能性を示唆している。4週平均も29万500件と前週の29万750件を下回り、17週連続で30万件の大台割れを維持。継続受給者数は245.2万人と、前週比4.3%増となった。失業保険受給者の比率はは、1.8%を保った。

——以上、人員削減予定件数はホリデー商戦が終了した割に小売の雇用減少が小幅だったことが分かりました。発表元の見通しがバラ色に転じたはずです。米新規失業保険申請件数をみても、ホリデー商戦明けの雇用減は確認されず。ただ米新規失業保険申請件数の堅調な結果は、ニューヨーク州だと給与を受け取ってから1週間は申請できないほか、12月25日のクリスマスが木曜日と週末直前だった事情が反映された余地を残します。1月にホリデー商戦の反動減が生じるかどうかは、来週の米新規失業保険申請件数を見極める必要があるでしょう。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年1月8日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。