ハンセン病キャンペーンが拡がってきた

本山 勝寛

先日、「アイス・バケツ2.0を日本発で拡散させませんか?」という記事を書いて、ハンセン病について考え、偏見や差別をなくすためのキャンペーンへの参加を呼びかけました。1月25日の「世界ハンセン病の日」に合わせた「THINK NOW ハンセン病」という動画メッセージ等のソーシャル・メディアを活用したキャンペーンです。

呼びかけを始めた頃はごく少数の方の参加でしたが、その後多くの著名人や芸能人、スポーツ選手、アーティスト、作家、評論家、自治体の首長、公益団体、学生、一般の方々にメッセージ動画をお寄せいただき1月20日時点で750を越えました。ありがとうございます!


ノーベル平和賞受賞者としては、ダライ・ラマ法王のほかにも、グラミン銀行を創設したムハマド・ユヌスさん。
スポーツ界では白鵬関や日馬富士関、ボクサーで金メダリストの村田諒太さん、テニスプレーヤーの杉山愛さん、サッカー元日本代表の武田修宏、体操の池谷幸雄さん、元水泳選手メダリストの鈴木大地さん、F1ドライバーの片山右京さん、プロバスケットプレイヤーの五十嵐圭さん、「艇王」と呼ばれたボートレーサーの植木通彦さん。
芸能界からも伊勢谷友介さん、マツコ・デラックスさん、坂上忍さん、東ちずるさん、まこと(シャ乱Q)さん、内館牧子さん、川村ゆきえさん、島崎和歌子さん、ドリアン助川さん。
アーティストとしても、ヴァイオリニストの五嶋龍さん、漫画家のさかもと未明さん、クリエイティブディレクターの佐藤可士和さん、現代美術家の日比野克彦さん。

ここで挙げきれない方々に賛同いただいており、著名人だけでなく一般の方にも参加いただいています。ハンセン病というと、あまり知らない、関心がなかったという方々がほとんです。それは、この病気にかかった方々が強制的に隔離され、社会に「存在しなかったもの」として扱われてきた裏返しでもあるのだと思います。このキャンペーンも、「拡がってきた」とは言っても、まだまだ到底「アイス・バケツ」ほどではありません。世界では今も20万人以上の方が毎年病気にかかり、また治った後ですら差別を受けています。日本では逆に新しく罹ることはなくなりましたが、回復者の方々が高齢化し、その経験を語ることのできる人が少なくなっています。今、このことについてしっかりと考える必要があるのではないでしょうか。

動画メッセージを寄せてくれた賛同者の一人に、ドリアン助川さんがいます。90年代に「叫ぶ詩人の会」として活動、その後も作家、詩人、ミュージシャン、道化師として活躍されています。このドリアン助川さんが、昨年『あん』という小説を書きました。どら焼き屋を舞台にハンセン病回復者の方が主人公の作品です。人が生きることの意味を静かに、あたたかく感じさせてくれます。この小説を原作に、樹木希林さん主演で、カンヌでもグランプリをとった河瀬直美監督が映画化し、今年6月に公開されることになりました。ドリアン助川さんのメッセージ動画もぜひ視聴し拡散をお願いいたします。

動画を撮影して送るのに抵抗があるという方は、ぜひ拡散にご協力ください。設定時刻に応援者のSNSアカウントから一斉に記事が投稿されるクラウド・ツイーティング・サービス「Ghorus」のプロジェクト「マツコ・白鵬翔・くまモンも、みんなで届ける!1億人チャレンジ」も始めました。こちらは1クリックだけで参加可能です。
https://ghorus.com/projects/710

他には、丸の内オアゾ○○広場(おおひろば)で、写真展「ハンセン病を考えることは 人間を考えること」も開催します。(2015年1月24日(土)~28日(水)11:00~19:00)
日本財団で世界中のハンセン病療養所、コロニー、病院を訪ね、写真を撮っているフォトグラファー富永夏子さんの作品で、私も一緒に世界中を回っています。

ということで、皆さんの参加をお待ちしております。

ハンセン病を考えることは、人間を考えること。
THINK NOW ハンセン病。

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学びのエバンジェリスト
本山勝寛
http://d.hatena.ne.jp/theternal/
「学びの革命」をテーマに著作多数。国内外で社会変革を手掛けるアジア最大級のNGO日本財団で国際協力に従事、世界中を駆け回っている。ハーバード大学院国際教育政策専攻修士過程修了、東京大学工学部システム創成学科卒。1男2女のイクメン父として、独自の子育て論も展開。アゴラ/BLOGOSブロガー(月間20万PV)。著書『16倍速勉強法』『16倍速仕事術』(光文社)、『マンガ勉強法』(ソフトバンク)、『YouTube英語勉強法』(サンマーク出版)、『お金がなくても東大合格、英語がダメでもハーバード留学、僕の独学戦記』(ダイヤモンド社)など。