「世界終末時計」の針は何分進むのか

アゴラ編集部

「世界終末時計(Doomsday Clock)」という時計があります。米国の学術誌『Bulletin of the Atomic Scientist』が、核戦争による人類滅亡が現実のものとなった冷戦下に提唱しました。普通の時計と同じように、長針と短針が動き、午前0時になると人類が滅亡する、というもの。同誌の委員会が定期的に状況を分析し、人類滅亡の危険性が高まれば針を進め、心配が軽減されれば逆に針を戻します。


当初は東西冷戦による核戦争の危機が評価の基準でしたが、最近は気候変動や環境破壊など多種多様な危険因子を加えて針を進めたり遅らせたりしているようです。ちなみに2012年には、核兵器の拡散や福島第一原発の事故などにより、23時55分、つまり終末まで5分前までになっています。

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このグラフによれば、もっとも危険だったのが東西冷戦が激化していた1950年代で、人類滅亡まで2分前にまで迫っていました。その後、冷戦終結により23時43分まで遅らせられていましたが、1990年代から徐々に0時に近づいている。しかし、2012年からの3年間は5分前に固定されています。

表題の記事によると、1月22日に米国ワシントンDCで同誌が新たな時計の針を発表するようです。欧米と中露の対立、イスラムテロ、エボラ出血熱、温暖化の進行など、世界を取り巻く状況は確実に危機に瀕しています。さて、23時55分から「世界終末時計」の針はいったい何分、進むのでしょうか。

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1947年に発刊された『Bulletin of the Atomic Scientist』の表紙に初めて「世界終末時計」が示された。その時の時刻は23時43分。

livescience
Closer to Self-Destruction? Doomsday Clock Could Move Tomorrow


How India rescued its tiger population from the brink—but Modi is risking it all
QUARTZ
野生のトラについては、ちょっと前にロシアのプーチン大統領が捉えた後に放したシベリアトラが国境を越えて中国内へ入り、人を襲って話題になりました。世界各地のトラは絶滅危惧種ですが、保護活動が奏功し、次第に数が増えているらしい。インドのベンガルトラも一時は絶滅が危惧されていましたが、2006年の1411頭から最近では3200頭余りと、個体数が倍増しているようです。ただ、保護区内や隣接した地域に住む住人にとって、トラの保護は重大事項です。人とトラの利害が相反し、保護区のトラを毒殺する住民も後を絶たない。また、インドのモディ政権は、経済成長優先でトラの保護にはあまり熱心ではありません。

Obama’s Tax Trap
SLATE
オバマ米大統領が、国内の経済格差を是正するために税制に変更を加えようとしています。富裕層への累進課税と相続税の強化、さらに中産階級の減税、教育やインフラへの支援を増やす、というもの。議会で優勢な野党の共和党はこれに真っ向から反対していますが、国民全体から見れば共和党は金持ちの味方、といった印象を与えかねません。一方の民主党も一枚岩ではなく、次の有力な大統領候補であるヒラリー・クリントン氏はオバマ政権の政策には批判的なようです。この記事では、オバマ大統領が仕掛けた「税の罠」に共和党のミット・ロムニー氏が引っかかった、と書いている。前回の共和党大統領候補は、次の大統領選にも出馬意欲満々のようですが、この罠はなかなか厄介なようです。

高島屋、カタログの商品画像にカメラをかざすだけで該当商品のオンラインショップページに誘導するAndroidアプリ「髙島屋カタログスキャン」をリリース
Social News Network
こうしたアプリは、固有の店舗やチェーンだけではなく、今後はさらに普遍性をもって広がっていくんでしょう。欲しいものを探す、というのは、わりに面倒な手間がかかります。また、モニター上より、紙に印刷したもののほうが選びやすいのかもしれない。紙とデジタルはこうした場面で親和性が高いとも言えます。
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高島屋カタログスキャン。今のところAndroidアプリしかないようです。

Melting glaciers reveal items lost in the Stone Age
inhabitat
かつて第二期の再開発ブームが全国的に行われ始めた際、三内丸山遺跡などの古代遺物がアチコチで「発見」されることが起きました。今は温暖化で氷河が溶け、氷の下に眠っていた遺跡群が姿を現し始めているらしい。この記事ではノルウェーの溶けた氷河から石器時代のナイフや矢尻、ヴァイキング時代の馬の頭骨などができた、と書いている。同じような遺物が北米のロッキー山脈や南米アンデス山脈で発見されているそうです。


アゴラ編集部:石田 雅彦