悲しい映像が流れてきた。イスラム教スンニ派過激テロ組織「イスラム国」(IS)に拘束されていた2人の日本人にうち、湯川遥菜さんと思われる人物の殺害が報じられた。ISの蛮行に心から怒りを感じる。
日本メディアの反応を追っていたら、産経新聞電子版は「共産党の池内沙織衆院議員が、短文投稿サイトのツイッターに『こんなにも許せないと心の底から思った政権はない』と、安倍晋三首相を批判する投稿をしていたことが25日、分かった」と報じていた。池内議員はISではなく、安倍政権を糾弾していたことに、正直言って驚いた。
2人の日本人が生命の危機にあり、その解放のために日本政府があらゆるチャンネルを通じて、解決に乗り出している時、共産党議員が政府を批判するという感覚に違和感というより、「心の底から許せない」と感じた。同議員の発言は単に品格がないだけではなく、テロリストを間接的に支援することにもなるのだ。
安倍首相を批判するのなら、共産党議員は湯川さんが殺害される前にその代案を提示していたのか。議員が代案を提示し、政府が拒否した結果、人質が殺害されたというのならそれなりに首相批判も一貫性があるが、同議員が人質解放の妙案を提示したとは残念ながら聞いていない。
日本人人質が殺害されたことは日本人国民にとって悲しいことだ。テロリストにこのような蛮行を繰り返させないために、政府だけではなく、国民も一致団結しなければならない時だ。この時期に首相を批判することは戦略的にも最悪だ。
その点、国家が窮地に瀕した時、米国では、民主党政権であろうと、共和党政権であろうと、大統領を支持し、団結をアピールする。与野党間の政策論争は一時、停止され、大統領を支援し、最善の解決策を共に模索する。日本共産党議員の首相批判はそれとは180度異なる。日本人人質が殺害され、苦慮する安倍政権に対し、「心の底から許されない」と批判したのだ。
後藤さんの救済のためには、政府と国民は団結すべきであり、与・野党議員はこの危機の時は政策の相違に拘らず、政府を支援すべきだ
考えてみてほしい。テロリストは日本国内の反応を見ているはずだ。国内で安倍政権批判が高まれば、テロリストの思う壺になる。日本が団結してこそ、テロリストに対して毅然とした立場で交渉し、解決策を模索できるのではないか。それが、第2、第3の人質事件を阻止することにも繋がるはずだ。
日本共産党は先の総選挙で前回を大きく上回る21議席を獲得した。国と国民への責任は増している。池内議員は「安倍政権の存続こそ、言語道断。本当に悲しく、やりきれない夜。眠れない」と続けたが、イスラム国への批判はなかった(産経新聞電子版)という。
池内議員は人質事件を政権批判に利用しているだけだ、という声が出てきても不思議ではない。池内議員の発言は、日本の国益に冷淡な共産党の実態を図らずもあらわにしている。
【短信】ウィーンにも雪が降った
ウィーンでは1月24日夜から25日(現地時間)にかけ雪が降った。当方が朝3時頃目を覚ました時、ベランダに25cmぐらいの本格的な雪が積もっていた。こんなに多くの雪は今冬、初めてだ。朝5時頃になると、外から雪掻きをする人のシャベルの音が聞こえてきた。
「それにしても、短期間で良く降ったな」と呟きながら、事務所の窓を開け、外の雪景色を堪能した。
▲ベランダから見た雪景色(2015年1月25日、撮影)
編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2015年1月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。