ちょっと前まで、人工知能、というのはトンデモ科学の補欠みたいに言われていました。チューリングテストから始まり、遺伝的アルゴリズムやニューラルネットワーク、ファジィ理論、機械強化学習や報酬学習などなど、人工知能研究はちょっと厳しい表現ながら、雑多なガラクタが山積みされ続けてきた。もちろん、こうした基礎研究の積み上げがなければ、今のロボット技術も生まれていないでしょう。
ただ、ここで言う「人工知能」というのは「人間のような思考をするコンピュータ」という意味で、計算能力やチェスなどのボードゲームではとっくに人間を凌駕し、一般的な大学入試さえ突破できる人工知能ができています。自律行動でも自動運転の無人自動車などが実現間近、と言われています。
我々生物は、内界を認知しつつ、外界をセンシングして相互の世界を統合し、経験値を積んだり思考を深めたり、それによって行動を変化させたりします。人工知能にもこうした能力が求められていますが、人工知能の「内界」とは何か、という厄介な問題をクリアしなければなりません。
いずれは人工知能が、計算能力はもちろん、意識や知能、知力などの点で人間をはるかに超えて、我々の代わりに思考したり研究開発をしたりするようになる、いわゆる「2045年問題」も危惧されています。電気自動車テスラ社のイーロン・マスクCEOは、人工知能の脅威を強く訴えていることで有名ですが、産軍複合体に密着しつつ人工知能研究を積極的に進めているGoogleのエリック・シュミット会長は、こうした心配は人類が古来から抱いてきたステレオタイプの恐怖心だ、と一蹴しています。
表題の記事では、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が、掲示板サイト「reddit」上で人工知能について語った、と書いています。ゲイツ氏は、マイクロソフトを立ち上げる時にも人工知能研究に対して興味を持っていたらしい。しかし、米国政府は人工知能研究への支援を中断し、世界的にも人工知能研究の「冬の時代」に入ったことで、彼はマイクロソフトへ注力するようになりました。
ゲイツ氏はイーロン・マスク氏と同様、人工知能については楽観論者ではなさそうです。この研究はこれからどんどん発展するだろうし、映画『ターミネーター』のような世界が現出しないよう、研究者はこの技術をきちんと管理しなければならない、という主張のようです。
前述したように、人工知能研究の歴史は、はっきり言えばガラクタの山です。ジョン・C・リリー博士のようなスピリチュアル系のマッドなサイエンティストが出てきては消え、似非科学のレッテルが貼られたこともあったのです。こうした「冬の時代」がなかったら、マイクロソフトは生まれなかったでしょう。逆に考えれば、マイクロソフトを成功させたゲイツ氏が本格的に人工知能研究に没入していたら、今の世界はもっと違った光景になっていたのかもしれません。
BUSINESS INSIDER
BILL GATES: Here’s What I Would’ve Done If Microsoft Didn’t Work Out
I’m fed up with political correctness, and the idea that everyone should already be perfect
QUARTZ
ネット上に限らず、この世界には極右から極左まで、ありとあらゆる「政治的立場」が混在しています。宗教も含めると、この種類や数は気の遠くなるものになるでしょう。一神教は基本的に他宗教を認めませんし、これらが自分と立場の異なる集団や個人、派閥などを攻撃し合っている。寛容さを失い、対立意見を暴力などで封殺する行為が横行している。しかし、いったい「正しい政治的立場」などあるんでしょうか。この記事では、政治的に自分が正しいという主張を応酬するのは、もうウンザリ、と書いています。それにしても、なぜ我々は自分の意見に相手を従わせることにこんなにも躍起になるんでしょうか。
Bone music: the Soviet bootleg records pressed on x-rays
the guardian
その昔、雑誌の付録などにソノシート、という薄っぺらいビニール製のレコードがついてくることがありました。ぺらぺらで頼りないレコードですが、アナログプレーヤーで普通に音楽などを再生することができた。この記事では、旧ソ連時代に使用済みのレントゲンフィルムに溝を掘って、音楽などを記録した海賊版レコードを紹介しています。資源が乏しかった旧ソ連では、こうしてひそかに西側の音楽を聴くことがあったらしい。レントゲン写真ですから、医療用に使われた際に写された肋骨や頭蓋骨も記録されています。
頭蓋骨が写ったレコード。写真:Paul Heartfield
昆虫の目「複眼」を実に克明にまるでCGのようにマクロ撮影した。
坂井直樹のデザインの深読み
ハニカム状態で小さな目が密集した昆虫の複眼は、不思議な感覚器官です。彼らが外界をどう見ているのか、というと赤外線フィルターをかけたような画像になるそうです。これは昆虫の複眼を撮影したものを紹介した記事。水滴がついているとより不気味です。
YudySauw氏のHPより。
Satellite Images Indicate North Korea Could be Restarting Nuclear Operations
VICE NEWS
世界の耳目が中東へ向けられている間、北朝鮮が何やらゴソゴソやっているようです。拉致誘拐、という点で言えば、こっちのほうが悪質だし、総聯ビル問題にみるように我々一人ひとりに直接的に関係する問題でしょう。この記事によると、衛星写真の分析から北朝鮮が核兵器の原料を作る原子炉を稼働しているのでは、と書いている。6カ国協議では、プルトニウム生成については宙ぶらりん状態。非核化を受け入れると表明し、米国が食糧支援するところまでいきましたが、その後、金正日が亡くなり、頓挫しています。
2014年12月24日に衛星から撮影された寧辺原子力研究センター。原子炉周辺の雪が溶けたり、温水が流れ出ている様子がわかる。Photo DigitalGlobe/38 North via Getty Images
アゴラ編集部:石田 雅彦