「地域農協」という言葉の違和感

前田 陽次郎

最近、農協改革にからんで、「地域農協」という言葉をよく聞くようになった。

しかし、どうしても私はこの言葉に違和感を感じる。これは、本来「単位農協」と言うべきものだからだ。
私は何十年も農業・農村に関する研究をやっていたが、「単位農協」あるいは「単協」という言葉はよく使っても、「地域農協」という言葉は最近まで聞いたことも使ったこともなかった。


ところで誰が「地域農協」という言葉を使い始めたのだろうか。今回の記事は全くの私の推測である。事実関係は、わからない。

農協というのは、その名の通り「協同組合」であって、一人一人の組合員が集まって組合を作ったものである。それが「単位農協」。農協組織としての最小単位である。

その「単位農協」がいくつか合わさって、都道府県単位なり全国組織なりの「連合会」ができる。この流れが基本のはず。あくまで組織の中心は単位農協であるはずなのだ。

「地域農協」という言葉から私が受ける印象は、都道府県組織も全国組織も、「単位農協」と並列な組織だ、というものだ。「全国」に対する「地域」という意味合いに感じる。

だから、「地域農協」などという言葉を使い始めたのは、全中などの中央組織の人間なのではないか、という気がする。自分たちも単協と並ぶ組織の一員なんだから、解体させられたら困る、ということではないだろうか。

安倍総理は農協の「連合会組織」の力を削いで「単位農協」の発展を目指しているはずだ。だとしたら、「地域農協」などという言葉を使わず、「単位農協」という言葉を使う方が、世間にはわかりやすと私は思う。

私の意見に賛同される方は、是非「地域農協」ではなく「単位農協」という言葉を使って頂きたい。

前田 陽次郎
長崎総合科学大学非常勤講師