刺青をマクロファージクリームで簡単に除去できる時代

アゴラ編集部

2月4日、熊本県で知人に刺青(タトゥー)をした男性が、医療法違反で同県警に逮捕されました。刺青はれっきとした医療行為であり、医師免許のない人が勝手に施術することはできません。

刺青についての最古の記録は、なんと日本の『魏志倭人伝』にあります。当時の「日本人」の男性は、顔面と体に様々な刺青を入れていました。刺青を入れるのは苦痛をともなうので、現代の世界でも成人になるための「通過儀礼」として刺青を入れさせ、共同体へ受け入れる儀式とするような部族がいるようです。


昔の中国や江戸時代に犯罪者を種別するために強制的に入れたように、刺青は一度入れると簡単には消えません。犯罪者に刺青を入れるのは、古代中国に「墨(ぼく)」や「黥(げい)」があったとされ、かなり古くから行われていた刑罰です。また、ホウレンソウを食べて元気になるポパイの腕の錨の刺青のように、船乗りたちは海難して水死体になっても身元がわかるように、個人的な目印として刺青を施すことがあったようです。さらに、暴力団やヤクザなど、反社会的組織の構成員の証(あかし)としての刺青もよく行われています。

我々は、先史時代からごく普通に刺青を入れていました。しかし、やがてネガティブな社会マーカーとなり、特定の職業に就く人たちの特殊な風習になり「極道」として一般社会との訣別を決意させる印章になっていったのでしょう。

反社会的組織と反体制が表裏一体であるように、1970年代に世界中で反体制運動が盛り上がり、ヒッピーやヒップホップムーブメントへいたる流れの中、刺青も一部の若者たちの間でファッションとして流行っていきます。今では刺青もオシャレな行為になり、ハリウッドスターやヒップホップ歌手、DJ、モデル、Jポップのアーティストたちも普通に刺青をし、それを隠さないようになっています。

しかし、まだまだ刺青に対する偏見や制限が多く残っているのも事実です。温泉やプール、サウナ、スポーツジムといった肌を露出する公共施設で、刺青をしていると入場を断られることがありますし、刺青の顔料に含まれている物質が火傷などを引き起こす恐れがあるため、医療用MRI(核磁気共鳴画像法)での検査ができません。

冒頭で紹介した事件のように、知識も技術もない素人が気軽に刺青を彫ってしまうこともありがちです。衛生的に危険性が高く、C型肝炎などにかかってしまうリスクも無視できません。

一度、刺青を入れてしまえば、簡単に消してしまうことはできません。皮膚に深刻なダメージが残ってしまう。ある刺青師は、特に若い女性に対して訪ねて来てすぐに彫ることはせず、必ずよく考えてからの再訪をうながす、と言っていました。

表題の記事によると、カナダの大学の学生らは刺青のインクを除去するクリームの研究開発を続けているそうです。このクリームには、赤血球の一種であるマクロファージが含まれています。マクロファージは、死んだ細胞などの老廃物を食べたり、体内に侵入してきた細菌などを捕食しているらしい。刺青に使われている顔料も異物です。マクロファージが顔料を食べてしまう、という仕組み。後悔した将来、痛みもなく手軽に刺青を消し去ることができれば、もっと気軽に刺青を入れる人が増えるのかもしれません。


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INTERNATIONAL BUSINESS TIMES
Tattoo removal cream: expensive and painful laser elimination could be a thing of the past


Smoking may increase risks for patients being treated for prostate cancer
EurekAlert!
喫煙が百害あって一利なしは常識ですが、この記事によると前立腺がんの患者に対し、将来的な再発や死亡するリスクもかなり増加させるようです。喫煙者の前立腺がん患者の場合、再発する割合は40%も高く、死亡率は約二倍になるらしい。前立腺がんに限らず、重篤な病気になってもタバコを吸い続ける人の気が知れません。

Gay blood donation: ‘No evidence’ to support outright ban
BBC NEWS
街を歩くと頻繁に献血の呼びかけを見かけます。当方はAB型なので、どの血液型がどれくらいかという看板を見てけっこう足りないんだな、と思ったりする。しかし、献血は誰でもできるわけではありません。この「日本赤十字社」のHPによれば、体調不良の人や出血をともなう歯科治療をした人、半年以内にピアスの穴を開けた人などは「献血をご遠慮いただく」ことになっています。日本では明示されていませんが、世界各国では「同性愛者」は献血できない、という決めごとがある場合が少なくありません。例えば「日本赤十字社 東京都赤十字血液センター」のQ&Aには、リスクを回避するためと断りつつ、男性同士の性的接触をした人の献血を断っている、と書いている。表題の記事によれば、同性愛者の献血の問題は、英国でも議論になっているようです。

フリーランスとふるさと納税は、すこぶる相性が悪い…という話。年間の所得がどのくらいになるか、年末になるまでわかりません。
クレジットカードの読みもの
今の日本で一年後の納税額がわかる人は「幸福」です。人生一寸先は闇、というのは事実で、ひょっとすると明日、あなたは会社から解雇されてしまうかもしれない。これは、いわゆる「ふるさと納税」いについて、先々の収入がよくわからない人にとって使いづらい、と書いているブログ。「ふるさと納税」とは、所得税や住民税の一部を自分の好きな自治体、応援したい自治体へ納税(寄付金控除)できる制度。納税された地自体は、その特産品などを納税者へプレゼントしてくれます。確定申告という制度が「ふるさと納税」とマッチングできていないわけで、サラリーマンも予想不能な副収入で納税する場合も同じです。

The fight for sustainable living as legal battles and SWAT teams prevail
Natural News
先進諸国で現代社会の中で暮らしていくのは、社会のあらゆるシステムにコミットし、そのグリッドに取り込まれなければなりません。こうしたシステムから逸脱すると、電力や水道などのライフラインから外され、時には米国のSWAT(Special Weapons And Tactics、特殊火器戦術部隊)のような官憲によって逮捕されてしまうかもしれない。好きなように生きる、というのはなかなか難しいようです。


アゴラ編集部:石田 雅彦