マック赤坂は港区議会の“劇薬”になれるのか

新田 哲史

どうも新田です。最近不幸があった私にスマイルセラピーは効くんでしょうか。ところで、あのマック赤坂氏が統一地方選で行われる東京・港区議会議員選挙に出馬されるということで、早速、スポーツ紙やネタ系ウェブメディアが食いついておるようです。

マック赤坂氏、区議選出馬「港区をスマイル」
政治団体「スマイル党」総裁のマック赤坂氏(66)が18日、4月26日投開票の東京都港区議選に出馬する意向を表明した。マック氏の選挙挑戦は12回目。マック氏はスポーツ報知の取材に対し「港区をスマイルあふれる街にしたい。スマイル!」と当選への意欲を語った。(2015年2月18日17時3分 スポーツ報知

これがどこかの知事選や港区長選とかだったら「お、おう」と反応するところですが、この一報を聞いた時の感想は「ほ、ほう」でした。今回はホンキだね、と。

◆8年ぶりの“原点回帰”
なんといっても、区議選は、マックさんのパフォーマンスショーである政見放送がないんですよ。大方、スマイルセラピーの布教が実質的な目的だったマックさんにとって、政見放送は最強のコマーシャルツールであり、武器のはず。NHKの関係者に聞いた小ネタをご紹介しておくと、マックさんの収録中はスタジオ内部はカメラマン以外、みんな外に出て行くように指示しているようで。広い渋谷のスタジオでシュールすぎる芸が繰り広げられる場面はどんなものでしょ。失笑を押し殺しているカメラマンに同情いたします。

マックさんは派手なイメージが先行はしますが、実はデビュー戦は地味で、2007年の港区議選でした。つまり原点回帰。この時は34の当選枠に対し、51人が出馬して新人マックは下から数えて2番目の179票に終わる惨敗でした(最下位当選は992票)。当時、赤坂に住んでましたんで、地元の名前を取った変なオッサンがいたな的な記憶と印象があります。それも微かな。あれから8年が経ち、ほとんど見向きもされなかった知名度は、出馬表明にスポーツ紙が来るくらいには上昇しました。

もちろん、それが得票につながる支持になるかは別ですが。記事によると、今回はお笑い芸を封印してスーツでビシッと決めて選挙活動されるそうで、相次ぐ選挙で供託金が没収され、足元の台所事情も揺らぎ始めたが故の出馬理由なのかは分かりませんが、クソマジメに活動したらある意味「新ネタ」として興味深いところです。

◆好きではないが唯一期待できること
ぶっちゃけ、私は都知事選の折にマックさんと街頭でケンカしてるんであんまりよくは思っていないです。渋谷駅前での1回目の街頭演説、こちらの陣営の街頭演説の近くで一人で謎のパフォーマンスをやっていたと思ったら、ズカズカと人の輪をかきわけて接近してくるではありませんか。まあ、私が珍しく体を張って止めて、それに彼がキレたという、やまもといちろうさんから見たら「笑うに笑えない都知事選24時」のハイライトシーン的展開オチでした。一応、止めたのは法的な根拠がありまして、家入さんの横に乱入されたら合同個人演説会の届けをしていないことになりかねず、やむを得ない仕儀でした。ていうか、オッサン、知らなかったのか。何回選挙出てんだよ。ちなみに、その時の決定的瞬間がこちら。まあ、マックさんの姿は消しちゃったんだけどね(苦笑)。
150220決定的瞬間

しかし、過去のいきさつはさておき、マックさんに一つだけ当選後に期待できるのは、彼はKYで、かつ世間の耳目を集められる特異性。港区議会にはびこる古色蒼然とした体質にいろいろと異議を申したり、議会スタート後に様々な因習と衝突して騒いでスポーツ紙やネット系のニュースを騒がすことをぜひ期待します。別に私も、から騒ぎを単に望んでいるわけじゃない。昨年末、東洋経済オンラインの取材で、議長が個々の議員がメディアの取材を受けることを規制していた古めかしい体質を知って、区民として辟易しているわけなんです。

※港区内では2連ポスターが張られ、街は“前哨戦”の様相だ(筆者撮影、麻布十番で)
150220港区議選
◆当選して議会の体質に風穴を開けられるか
港区にお住まいの方には改めてリンク先の記事をお読みいただきたいんですが、いまどき、こんな取材規制をかけていたなんてどこのド田舎の村議会なのかと思うような話です。共産党の幹事長までが自民党の議長とツーカーだったりと緊張感が足りないし、若手区議も異論を挟めない「空気」が支配している。そこで戦ってくれないとダメなわけですが、取材時、言論統制カルテルに見えましたよ、こりゃ。勝谷誠彦さんが昔言っていた「利権談合共産主義」を都心部のど真ん中で鮮やかに体現してくれております。なお港区の共産党に関しては面白ネタが入ってきましたが、また後日。

結局、時代錯誤なメディア規制がまかり通っていたのは、報道機関の取材が日常的に入らないから「やりたい放題」だったんですよ。マックさんが当選すれば否応なしに、区議会に普段来ないような非記者クラブ系のメディアが取材に来るはず。区民の注目も集まるし、ワイドショーあたりで「10度、20度、30度、一般質問しまーす」なんて登壇する様子が取り上げられれば、最低限のアテンションは取れるでしょ。それを機に炎上するなりして区民が足元の議会に関心を持てば議員も少しは身構えるだけの一定の効果はありそうです。はたして副作用確実の劇薬が今の区議会に投与されるんでしょうか。

まだどなたに投票するかは決めていませんが、メディアパワーを持つマックさんのご活躍を生温かく見守りたいと思います。ツイート見てると事前運動の心配はございますがね。ではでは。
新田 哲史
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
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