海外不動産と国内不動産のメリット・デメリット --- 内藤 忍

アゴラ

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週末の世界の不動産投資フェアでは、国内と海外の不動産をご紹介しましたが、海外不動産と国内不動産にはそれぞれメリット・デメリットがあります。


海外と比較して、日本国内の不動産投資は身近でわかりやすく、土地勘もあります。また、国内のローン金利が低く、借入も高い比率で実行可能ですから、ローンを組んでレバレッジをかけた投資がやりやすいという利点があります。

しかし、日本には人口減少という大きな問題があり、全体として住宅に対するニーズは減少していくことが予想されます。したがって、長期的には物件やエリアによって賃貸市場に大きな格差が発生すると考えられ、投資対象の選択が非常に難しいというのが現実です。

日本の賃貸物件の空室率は、全国平均で約20%とされています。日本の不動産マーケットは平均で見れば、高い空室リスクと価格の下落リスクがあり、個別物件の目利きができなければ収益を得るのが難しいと考えられるのです。

例えて言えば、日本の不動産に投資するのは、日経平均が下がっている中で個別銘柄を選択するようなものです。いくら銘柄選択能力があっても、全体が下がっている中で収益を上げるのは困難です。逆に、日経平均が上昇している相場であれば、銘柄選択能力に劣っている場合であってもそれなりの収益を上げることができます。

国内不動産とは対照的に、海外不動産投資には人口が増えている、成長率の高い市場で投資ができるというメリットがあります。

成長性の高いエリアの不動産を取得することによって、将来の値上がりが期待できます。新興国の経済成長率は、先進国に比べ一般に高くなっています。例えば、フィリピンやカンボジアは7%台の成長、タイやマレーシアも4%程度の成長は期待できます。先進国でも、成長率の高いエリアが存在します。

また、海外不動産の魅力は、家賃収入が将来的に上昇する可能性があることです。インフレが進み、所得水準が上がる国では、所得の向上と共に家賃も上昇していくことは珍しくありません。

日本の不動産を保有するメリットとして忘れてはいけないのは、相続時のメリットです。国内の不動産の相続税対象金額計算時の評価額は、時価に比べ3分の1程度まで圧縮されるケースが多いようです。例えば、資産5000万円を株式や現金で保有していれば、そのままの金額が資産として認識されます。ところが、同じ時価の不動産を保有していれば、課税対象額は1500万円になってしまうということです。どこまで圧縮されるかは、物件によって違いがありますが、これは大きな節税メリットです。

このように、同じ不動産投資といっても、目的によって、またどんなリスクが取れるかによって、投資対象は異なります。いきなり投資をはじめる前に、自分の投資の目的を、値上がり益なのか、インカム収入なのか、それともタックスメリットなのかを明確にすることが必須です。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年3月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。