こんな世論調査が出ておりました。
少年法の対象年齢引き下げに賛成82%
http://www.sankei.com/politics/news/150330/plt1503300017-n1.html
>少年法の対象年齢の「20歳未満」から「18歳未満」への引き下げについて、賛成が82・2%に上り、反対の14・1%を大きく上回った。成人年齢引き下げについては52・2%が賛成し、反対は42・4%だった。
川崎市での痛ましい未成年による殺人事件を受けて、再び世論は少年法改正・厳罰化への流れへと傾いているようです。
また本国会では、「18歳選挙権」が可決される見込みとなっています。
18歳選挙権、今国会成立へ 早ければ来夏の参院選から
http://www.asahi.com/articles/ASH2674CRH26UTFK022.html
しかしながらこれらが成立したとしても、それをもって「成人年齢」が引き下げられるわけではありません。
18歳と20歳。
民法で規定され、一般的に「成人」とされるのは我が国では20歳ですが、様々な法律や制度が混在し、状況は混迷を極めています。
そしてその制度の狭間に落ちるのが実は、「児童福祉法」で保護される要保護児童たちなのです。
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児童養護施設に里親委託と、これまでも色々と紹介している「児童養護」の分野。
過去記事:http://otokitashun.com/tag/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%9A%84%E9%A4%8A%E8%AD%B7/
社会的な手助けが必要になってしまった児童たちを保護する根拠法となっているのは「児童福祉法」です。これに基づき、子どもたちは権利として施設や里親委託など、社会的なバックアップを受けて生活を営むことが可能になっています。
しかしながら、この児童福祉法で規定されている「児童」の範囲が…ご想像の通り、18歳までになっているんですね。
児童養護には「措置延長」という例外的な対応もありますが、原則、施設や里親の元で保護を受けていた児童たちも18歳になれば自立・独立しなければなりません。
両親や保護者がいない18歳の人間が、「未成年」のまま社会に出されると一体どういった事象が起こるのか。
そう…
家を借りることすらできないんです。
現在の民法で規定される「未成年」には、ありとあらゆる分野で「親権者の同意」が必要になります。
家をかりるとき、ローンを組むとき、大学に入るとき、就職するとき…
私たちは何気なくこうしたイベントを、身元保証人として当然のように「両親」からハンコをもらってやり過ごしてきたのではないでしょうか。
ところが彼らには、ほとんどの場合両親やそれに代わる存在がいません。
未成年なのに「児童福祉法」の範囲から手放された彼らは、自立するに当たって極めて大きな問題に直面します。
では彼らは、いったいどうやって家を借りたりして、自立した生活を送っているのでしょう?
多くの場合、施設の園長や里親たちが「善意によって」彼らの身元保証人になります。
そして当人に支払い能力がなくなってしまった場合、施設長や里親さんが金銭的な保障をせざる得ない場合は少なからず発生するようです。
参考文献:
日本の大課題 子どもの貧困: 社会的養護の現場から考える (ちくま新書)
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こうしたあくまで「人の善意」によって支えられている状況はとても持続性のあるものとはいえず、社会保障制度としては著しい欠陥といえます。
児童福祉法の対象を20歳まで拡張する、あるいは措置延長を例外ではなく二十歳まで適用を容易にする(コスト増は確実ですが)、元要保護児童向けの特別な保障制度をつくる、思い切って民法を改正して成人年齢を引き下げる…
様々な解決アプローチは考えられますが、せっかくの「18歳選挙権」「少年法」そして「大人とはなにか」、これらの議論の中でこうした制度的な狭間にスポットが当たり、改善されることを望んでやみません。
国の制度がドラスティックに変わることが期待できない現状では、引き続き都独自の支援制度の確立に向けて政策提言を続けていきます。
それでは、また明日。
おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。
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